第76話【ソンした】 ページ28
心配して損した。この人は自分のことを棚に上げて他人を小馬鹿にしている。全くもって惨めだなぁってつくづく思う。
「……爆豪くん、その膝」
訓練中に転んだのだろうか。見ていてかなり痛々しい。
「あﾞぁﾞ？！ンなもんツバつけときゃ治るわ！！！」
「うわ、また暴言？これだからA組は！！」
「もうそれA組関係なくね？」
上鳴くんの言う通りである。「もうその辺にしとけよ、物間」と鉄哲くんが物間くんを止めているが物間くんはちっともやめようとしない。
「物間くんだって腕擦りむいた跡あるじゃん」
「こんな傷、ツバつけとけば治るけど？！」
「お前も爆豪と同じこと言ってんじゃねえか」
瀬呂くんがゲンナリした顔で物間くんにツッコむ。死ぬほど走ったせいで身体も心もボロボロだろう。その理屈でいくと物間くんは相当暇人という事になる。
「二人とも、手当てしに行こう」
「誰が行くかカス！！」
「行くと思ってんのぉ！？」
──こうなったら仕方ない。奥の手を使おう。私は二人を米俵よろしく両脇に担いだ。
「は………！？」
「な、何してんだテメェ……！！」
「バイ菌が傷口に入ったら大変な事になるよ」
「すげぇなお前！ゴリラかよ！」
「え、それ褒めてる？」
鉄哲くんが羨望の眼差しを私に送るが当の本人はフクザツである。柱稽古だけでなく、休日を利用して悲鳴嶼さんの修行によく参加している私にとって、思春期男子二人を担ぐくらい容易いことだ(実際丸太の方が重い)。
「さすがゴリラの子孫」
「え、ごめん。なんて？」
「やめろ、爆豪投げようとすんな」
上鳴くんはホントにご臨終したいのだろうか。
「早く手当てしてもらおう。切島くん達は先に宿に戻ってて。後から行くから」
「分かった」
切島くん達は「腹減ったな〜」とだべりながら宿へと向かう。私は手当て室へと走り始めた。
＊＊＊
「すいませーん、誰かいますか？」
「あら、なんですか？Aさん」
ちょうど机の上を整理整頓していたしのぶさんがいた。両脇に抱えている二人を見て「どうぞ座ってください」と話しかけた。二人は何故か納得のいかない表情でストンと降りた。
「わざわざありがとうございます」
「いえ、そんな。あ、私ちょっとトイレ行ってきますね」
「分かりました」
第77話【胡蝶さんはエスパー？】→←第75話【ごめんなさい】
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蛇口 - 更新どちゃくそうれしいですー！ぼくも玄弥オチ楽しみにしてます()これからも頑張ってくださいー、待ってますー (2021年4月17日 22時) (
レス) id: fc73c69302 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白かったです！！これからも頑張ってくださいーー!!!!応援してます！！！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: 5235c5d393 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ - 更新ありがとうございます！！ (2021年1月25日 19時) (レス) id: 63e081f941 (このIDを非表示/違反報告)
渡辺綱推しです - 更新ありがとうございまあぁぁぁぁす！ずっと楽しみにしていました！ (2020年12月22日 18時) (レス) id: 2597573cb3 (このIDを非表示/違反報告)
蛇口 - わー！更新あざす！ずっと待ってましたー！嬉しいいいいいいいっ (2020年11月22日 11時) (レス) id: e2c2da130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音海 | 作成日時：2020年1月24日 21時
