第68話【あの日から】 ページ20
──宇髄さんによる稽古が始まって、二時間が経過した。グラウンド百五十周って……宇髄さん神ですか？
めっっっっっちゃ優しいじゃん。普段だったら私達に三百周ぐらいさせるのだ、この筋肉ダルマは。
「A終わった？」
「何とかね。てかさ、カナヲ速すぎない？また速くなった？」
「そうかな……」
「さっすが、運動部の助っ人してるだけはあるわ」
「本当は華道部に集中したいんだけどね」
百五十周を一時間という脅威のスピードで終わらせたカナヲはそのまま地面に座っている。地面は合成ゴムで作られているため、そのまま座っても大丈夫なのだ。
「もっと鍛えなきゃダメだなー……」
「そう？Aは今のままで十分いい」
「だって鬼殺隊に入ったからには、最高位の柱になりたいし、」
「……なりたいし？」
「鬼に殺された人達や鬼になった人達を、救いたい」
私は『無個性』というだけでイジメられていた。あんな低俗な事をする奴らを見返す為に、鍛えていた。
……けれど、今は違う。鬼に殺されて精神が不安定になったり、なりたくもなかった鬼になって泣く泣く人を喰べている鬼達を。
「Aは、カナエ姉さんによく似てる」
「カナエさんに？」
「師範もよく言ってる。鬼を哀れむ姿は、本当に似てる」
「……
「………ごめんなさい、思い出させちゃって」
「あはは、いいよいいよ。気にしないで」
＊＊＊
どうして？
どうして、悲しいって言ってくれないの？
……まさか、悲しくないの？
(いや、それはない。ありえない)
──思えばあの日から私は、彼女が涙を流す姿を見ただろうか？
「どうしたのカナヲ」
「え、………」
「私は悲しいって思ってるよ」
「……だったら、なんで」
「感情に出さないの？って言いたいんでしょ」
「当たりー？」と笑いながら私のほっぺたをツンツンするA。
「どんなに傷ついても、前に進むしかない。立ち上がるしかない」
「………」
「さ、もうこの話は終わり。あ、そういやこの前ね──」
──A。
私はいつか貴方が、壊れてしまいそうで怖いの。だからこうやって心配するの。
困った時は私に話して？私達、何年一緒にいたの思ってるの？
「……ねえ、カナヲ？どしたの？」
「ううん、何でもない」
第69話【しょうがない、しょうがない】→←第67話【基礎体力作り】
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蛇口 - 更新どちゃくそうれしいですー！ぼくも玄弥オチ楽しみにしてます()これからも頑張ってくださいー、待ってますー (2021年4月17日 22時) (
レス) id: fc73c69302 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白かったです！！これからも頑張ってくださいーー!!!!応援してます！！！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: 5235c5d393 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ - 更新ありがとうございます！！ (2021年1月25日 19時) (レス) id: 63e081f941 (このIDを非表示/違反報告)
渡辺綱推しです - 更新ありがとうございまあぁぁぁぁす！ずっと楽しみにしていました！ (2020年12月22日 18時) (レス) id: 2597573cb3 (このIDを非表示/違反報告)
蛇口 - わー！更新あざす！ずっと待ってましたー！嬉しいいいいいいいっ (2020年11月22日 11時) (レス) id: e2c2da130b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音海 | 作成日時：2020年1月24日 21時
