第44話【甘露寺さん呼び】 ページ45
「Aちゃ〜ん！」
「甘露寺さん……！」
病室に戻ると、甘露寺さんが満面の笑みで出迎えて抱きしめてくれた。
「………」
「伊黒さんコワイんで睨むのやめてください」
それと、甘露寺さんガチ勢の伊黒さんも。てか伊黒さんの怖さが増してるんだけど。なぜだ、私は自分から抱きついてないのに。
「Aさん、ちゃんとベットで寝てくださいね」
「うﾞっ……すみません、しのぶさん」
いつものニコニコ笑顔のしのぶさんに注意され、ベッドに腰掛ける。すると甘露寺さんは、たちまち顔を歪ませた。
「甘露寺さん？」
「……ばっかり」
「え？」
「しのぶちゃんばっかりズルいわ！」
「ず、ズルい……？」
何がズルいんだろう。伊黒さんは不思議そうに甘露寺さんを見つめているし、しのぶさんはうふふと微笑みを浮かべていた。
「だって、しのぶちゃんの事は名前呼びして私の事は苗字で呼ぶんですもの」
「いや、甘露寺さん仮にも柱ですし」
「ホラ！また苗字で呼んでる！」
うわぁーんと両目に手を当てて泣き始めてしまった。どうしよう、伊黒さんが今まで見たことないくらい睨んでるよ。
「分かりました！蜜璃さんて呼べばいいんですよね！？」
ピタリと泣き止む蜜璃さん。「ありがとうAちゃん！大好きよ！」と言ってまた私を抱きしめる。
「……甘露寺に馴れ馴れしく近づくな」
「伊黒さん！そんなに怒っちゃダメよ！」
蜜璃さんの一声ですぐに怒るのをやめた伊黒さん。この人、ホントにお館様と蜜璃さんに忠実だよなあ。
「……やる」
「伊黒さんと私からのお見舞いよ！」
ぶっきらぼうに伊黒さんに紙袋を手渡された。中を除くと、フルーツゼリーの詰め合わせが入っていた。
「確かこのゼリー、今話題のやつですよね？高かったんじゃ……」
「遠慮せずに受け取れ」
伊黒さんの相棒、鏑丸がチロチロと私の指を舐める。そっと頭を撫でると、心做しか、嬉しそうにした。
「なぜ鏑丸がお前に懐いているか理解できない」
「伊黒さん酷すぎません？」
「そうですよ、Aさんは優しいんですから。その優しさが鏑丸くんにも分かっているんでしょう」
「胡蝶、お前は甘やかしすぎだ」
「甘やかしてなんかいません。Aさんが優しさをくれるから、私も優しさを返しているだけです」
「意味が分からん」
「はい？」
バチバチと二人の間に火花が飛び散る。なんか線香花火みたい。
と、その時。ぐうう〜と私と蜜璃さんのお腹が鳴った。
第45話【腹が減っては戦ができぬ】→←第43話【ビクビクし過ぎ】
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ぴーす。(プロフ) - すいません！鬼ごっこの話なんですけど、夢主ちゃんが鬼だったら、皆を追いかける側じゃないんですか？多分、話の内容的には夢主ちゃんが逃げで皆が鬼だと思います！ (5月25日 17時) (
レス) @page11 id: 93d57c8cdc (このIDを非表示/違反報告)
ここぴ - セバスチャンは笑いましたw 応援してます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9f9f73557c (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 珠世さんが鬼になって二百年ほどで愈史郎を作る、戦国の時代の縁壱が生きていたのが約三百年前なので約百年は違うんじゃないでしょうか? (2020年5月6日 21時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
チャケマン - あの46話の悲鳴嶼さんって手紙を読めるんでしょうか？ (2020年4月1日 19時) (レス) id: de774af347 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃ - ハーレムがヤバいです(語彙力がw) (2020年3月4日 17時) (レス) id: d7ebd024c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音海 | 作成日時：2019年12月28日 15時
