第壱話―継子 ページ2
「カアアアァ!次ノ任務!次ノ任務!東南の山デ鬼ガ出ル!町ノ人を攫ッテイル!ソノ数三十以上!解決スベシ!解決スベシ!」
「ああ、はいはい。わかりましたよ」
ぱちん、と刀を鞘に仕舞う。任務を遂行した旨を簡潔に鎹烏に伝え、羽織にかかった土埃を軽く叩いて落とす。朝日が昇ってきたらしく、木々の隙間から届く白い光が目に眩しい。
出来ればもうしばらく朝陽を浴びて体を休めて居たかったが、烏が私の頭上をくるくる飛び回りしきりに次の任務だとせっついてくるので、私は滑るように山を下った。
朝早くから移動していたため、日が最も高くなる頃には目当ての山に着くことができた。そして暫く1番近く町と山を探索した結果、どうやら人がいなくなり始めたのは半年以上前から。狙われるのは若い男女で、幼い子は攫われていない。しかしそれ以外に共通点は無し。
情報が少ない。これだけでは、鬼の居場所を特定することができない。
山に続く田んぼの畦道で立ち止まり、呼吸を落ち着ける。下を向いて目を瞑り、集中する。一点を、針に糸を通すように、神経をつなげるように。かっと目を見開き、山を見つめる。
「…………なるほど。使わなくなった小屋を利用しているのか。見た目は人間の女性ですね」
一通り鬼について探索した後、鬼の根城まで駆け出した。
任務は、早くに終えたほうが良い。
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ましろ(プロフ) - 赤眼のわかめさん» ありがとうございます!そう思っていただいて嬉しいです。自分なりにこの小説を精一杯書き上げたいと思いますので、よろしくお願いします。 (2019年6月25日 19時) (レス) id: b3ec390a2f (このIDを非表示/違反報告)
赤眼のわかめ - 作者さんの捉え方、とても好きです。読んでいて楽しいです。これからも頑張ってください! (2019年6月24日 17時) (レス) id: abeb3a86ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2019年6月13日 19時