廃棄場 ページ37
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｢返して｣
メッセージボックスからは
なんとも言えないような、
(例えるならあの奇特が呟いた言葉、
それによくにているとmeruは後で言いました)
言葉の羅列、羅列、羅列でした。
それは悲痛そうな言葉では無くて、
もう日常に混じってしまうくらいの言葉。
なまくら。
今度は珍しく反抗気味の光。
なまくらにも劣る言葉の針を刺されても
meruはうんともすんとも、まぁ、
黙りを決め込んでいました。
それがTeiには世界の終わりを示すような、
それが他には希望の一筋を示すような。
何故かはよく、
見物しないと分からないのでした。
見物といっても、誰もが10シリング払って
観れた品物でもありません。
全く、そういう風。
Teiはもう一度meruに右の手のひらを向けて
｢返して、それは君のじゃない｣
と再度繰り返し、いいました。
責める目線でも無ければ、それは
泣き落とすようでも無いものでした。
meruはこうされることで、ますます
手に力を込めてしまいました。
緊張する雰囲気、システムからの
要望に答えることでの皆の反応、
そしてそれはどういうことなのか、とか、
変に考えが混じり、
Teiの話は理解できませんでした。
そこの花が誰かにへし折られてしまうように、
また、Teiの手もがっくりと落ちていきました。
｢まぁ、苦しまないで｣と
meruが一際角の無いなまくらに刺されて
やっと、か言葉を発しました。
それは人が培ってきた言葉です。
｢すぐ終わらせてしまうので、
どうか、止めないでくださいな｣
はきはきとは喋れなくても、
少なくともTeiはそう感じました。
足が動かなくなると、
彼女はこのゲームを、
たった一つ手を動かしただけで
Playerの使っていた機械から消してしまいました。
Teiが何も言わないうちに、
meruは宥めの言葉を掛けようとしました。
｢これで誰か、自ら刃を
突き立てる馬鹿な真似はしないでしょう、
って……それは良かったの｣
アンインストールが完了する前に、
Teiは蜘蛛みたいに何か、抵抗しようと
空中でもがきつつありました。
Meruはそれを止めずに、静かに
データの進行を見守っていました。
Resetなんか生易しいものではない。
そういうことが分かってて、
彼女はどうしてアンインストールなんか。
と心のなかで憤慨していると、
時間がたてばたつほど彼女の、
もといPlayerの考えが
分かってきた気がするのです。
｢そんなの無いよ。
彼は自分から消えたんだぜ。
怖くなったの？｣
彼の部屋は恐ろしく整っている。→←Alice.+a(かきかけ)
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作者名：Patricia | 作成日時：2018年5月12日 20時
