６時、マゼンタ、彼女は知りたがり。【Kamuitale】 (ページ31)

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【小道具店】目口風船ページ31

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今からたった10年前。
｢空から落ちてきた｣きょどった神様には
Pipiという姉上がいたそうです。
いたそう、というのも、Pipiはそれくらい
目立たない子でした。
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とある日、Pipiはぶっきらぼうに
王都へ赴いて行きました。
ずっとお城よりか外のが魅力的でした。

そこで目に映ったのは｢手品｣でした。

誰かが発明したロボットが、街頭で
派手な音たてて披露していました。

そこに小さな人溜まりが伸び、
Pipiは中に入れてほしそうにしましたが、
やっぱりとやめました。

｢どうせ中に入れてもらえないんでしょ｣

自分を無視する理由こそ分かりませんでしたが
Pipiは諦め遠くから眺めることにしました。

｢＿＿お嬢さん、ねぇお嬢さんったら｣

急に肩をぶつけられ、
少しの痛みを伴いながらPipiは顔をあげました。

先はとても明るく綺麗な風船を何十も
持った老婆が、背を曲げPipiを見下ろします。

｢失礼。ところで風船をもらっておくれよ。

私は66も風船を持ってるわけだから重いのさ｣

言葉を呑み、Pipiは風船の
ひとつに手を伸ばしました。

手にしたのを老婆が黙認すると、
老婆はどこかに行ってしまいました。

変わりに、Pipiはまた後ろから声をかけられたのです。

｢大丈夫？｣

それは何も持っていない普通の一般人。
今まで自分を無視された怒りより、
気づいてもらえた喜びが先立ちました。

つづく