６時、マゼンタ、彼女は知りたがり。【Kamuitale】 (ページ29)

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【小道具店】泣き目薬ページ29

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自分の好きな時に泣けたら幸せなんだと、
Mirzeは長らくしてそう思い込んでいました。

ま。だから古き善き同僚から
『泣き目薬』という薬の原案を渡されるまで、
やはりMirzeの目の下は隈が貼っていました。

｢すぐ仕事に取りかからなきゃ｣

程なくして彼女は薬を産み出しました。
泣き目薬とは良く言ったもので、
これは一滴残らず涙を枯らすための薬として
ご友人は原案を作っていました。

そのご友人の原案を随分外れた薬を
彼女は作ったんですがね。

ひとまずこの薬の存在は隠して、
自分一人、泣きたいときに泣けるようにと
彼女は大量の泣き目薬をポケットに入れました。

例えば、研究がうまく行かないだとか、
王様への伝達手段としてだとか、

気に入らないやつの前で延々泣くだとか。

そうして1週間がすぎました。

Mirzeは腫れた目で、
やっと過ちを気付くのです。
泣いてても構ってはくれないんだと。

興がすっかり冷めた彼女は、Dragに
あと一週間くらいの薬を上げました。

彼なら上手く使うのでしょうか？

ではまた次に。＿＿『親愛なるご友人』より