⥥ ページ29
⇊
「まず葛原の父親はオレの部下だ」
「はい、知ってます」
「………は？ならもう分かるだろ？オレの命令のせいで葛原は不幸な子どもとして生まれて母親は可笑しくなって結局売られることになったんだぞ？オレがお前の人生めちゃくちゃにしたんだ、最低だろ」
何だかとても自暴自棄に見えた。父親が九井さんの部下だと知ったのはかなり前で、母は耳が腐るほど連呼していた名前が“梵天”の人達の中で聞いたことがあって九井さんより年齢は上みたいだけど、部下なんだとわかった。
私は特に気にしていなかったけど、九井さんはそうじゃなかったみたいだった。
「九井さん、私は九井さんに買って貰えたことがすごく嬉しかったです。九井さんと居られるのが凄く幸せだったんです」
「………でも俺は反社だぞ」
「凄く今更ですね…あの、」
「なんだよ」
「もう名前で呼んでくれないんですか」
「……」
黙ってしまった。触れないほうがよかったのかもしれない。でも、もう一度さっきの言葉を聞きたかった。あ、人に頼むなら自分もそうすればいいのかな…？かなりドキドキしながら、私は口を開いた。
「一さん、好きです。どうしようもないくらいもう離れたくなくてすごく一さんのことが、」
「やめろ、もういいAこっちが恥ずかしい」
呼吸器を外して、口を九井さんの手のひらで塞がれた。恥ずかしそうに耳を赤くして、私から顔を逸らした。これは夢なんじゃないかと思ってしまうほど嬉しくて嬉しくてどうしようもなかった。
九井さんが手を離すと私は九井さんの身体に抱きついて首に顔を埋めた。すると九井さんも抱き締め返して、耳元で囁いた。
「A、好きだ。オレと生きて、オレと死んでくれ」
「はい、もちろんです。私も一さんが好きです。
前にも言いましたけどやっぱり重いですね」
「重くて悪かったな」
優しくて控えめなキスを交わして、私は九井さんの手を握った。
「ねえ、九井さん」
「ん？」
「いっぱい愛、くださいね。だからお金はいりませんから、」
「もう私の財布にお金入れないでくださいよ？」
⇊
Fin
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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (
レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります！！最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました！！バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです！ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチンカスヱ x他1人 | 作成日時：2021年11月12日 0時
