9,凶兆 ページ23
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「Aちゃんお菓子作り上手いね…!」
「料理は一応できるから、かな…ありがとう」
ヒナちゃんは上手く焼きあがったクッキーを可愛い袋にラッピングして、紙袋に嬉しそうにしまった。彼女がこれだけ喜んでくれるなら私も手伝ってよかったな、と思っているとしまったものとは違うラッピングされたクッキーを渡された。
「渡してみたらどうかな?」
ドキッとした。受け取りはしたけど、九井さんにはもう関わるな、と言われているから。それは無理なことだった。でも、そうは彼女に言えず会えたら、そうしてみるね。と言って留め具についているメッセージカードに九井さんへ、とだけ書いてキッチンの机に置いた。
「じゃあ行ってくるね!」
可愛くオシャレをして凄く幸せそうヒナちゃんは私に満面の笑みを向けて私の家を後にした。
キッチンに戻って、片付けられた机に置かれたラッピングされたクッキーを持って、寝室がある2階へと上がる。カーテンがしっかり閉じられていて、まだ昼なのに夜のような寝室でクッキーをテーブルに置いて、ベッドに寝転がる。
九井さんとのメッセージ画面を開いて、タッタッと画面をタップする小さな音を鳴らしながら今日だけ会えますか、というメッセージを打って送信ボタンは送れずに、全て文字を消して画面を閉じてそのまま眠りについた。
───────ガシャン
大きな物音で目が覚めた。スマホの時計を見ると20:24と表示されていて、疲れてこんなに寝てしまったのかな、と身体を起こした。地震でもあったのかな、と少し不安に思いながら寝室の明かりをつけて部屋を出ようと背筋が凍るような悪寒がして、私は声を押し殺してドアノブから流石に手を離して部屋に鍵をかけて明かりも消した。
(誰かいる……!!)
1階で人がいるような足音が聞こえた。
物音を立てないようにベッドの方に戻って、スマホを起動させてすぐにヒナちゃんに連絡をいれた。けど、デートを楽しんでる彼女の既読は付くことはなく、どうしよう、と動揺する頭で思い出したのは蘭さんの言葉だった。
────どうにもならなくなったらアイツに連絡しろよ
「っ…」
九井さんたすけてください、それを送ることに躊躇はなかった。ほんの数十秒待って、既読が付いた。でも返事は来なかった。部屋の外の階段を登る音が聞こえる。怖くて怖く仕方なかった私は返事を待たずに電話をかけた。
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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります!!最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました!!バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです! (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パチンカスヱ x他1人 | 作成日時:2021年11月12日 0時