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「あ、悪い忘れ物をしてきた」


 車に乗って直ぐに九井さんはそう言った。そして、部屋にカードキーを忘れたから貸してくれ、と私に言う。私はそれに大して深く考えずに渡してしまった。駐車場でしばらく待っていると、眼鏡を掛けた九井さんが戻ってきて、眼鏡をわすれてきたんだな、とだけ考えて、カードキーを返してもらうことをすっかり忘れていた。

 その日はクリスマスの時期で、煌びやかに彩られていた都市のイルミネーションを見に行って、スカイツリーで夜景見られるカフェに連れて行って貰って、デートをしてるみたいだな、って思ったり。デートをよく知ってるわけじゃないけど、ヒナちゃんはクリスマスの日にイルミネーションを見に行くの、ていつか通話したとき聞いた。


「九井さん、今日頑張ってメイクしたんです。あの、…上手く、出来てますか?」


 夜景を見下ろしていた九井さんの切れ長の瞳が、私の視線と交わる。何も言わずにじっとしばらく私を見つめて、ふっ、少し笑った気がした。その後すぐに、九井さんが口を開く。


「あぁ、綺麗だ」
「え、…あありがとう、ございます」


 及第点、じゃなかった。ドクドク、と頭の中に心臓の大きな鼓動が響き渡る。嬉しくて嬉しくて、やっぱり私は九井さんが好きだった。やっぱり、忘れることなんて出来ないし、したくもない。九井さんに想って貰える人になれなくても、ずっと一緒にいられたらいいのに。
この時間がずっと続いてしまえば…、て叶うわけないことを考えていると九井さんが立ち上がって、そろそろ出るぞ、と言うから私はそれに従ってまた彼の後ろをついて行くしかなかった。


「…まだどこかに寄るんですか?」


 いつもならもう帰る時間だった。だけど九井さんが運転する車は家には向かっておらず、着いたのは1軒の大きな家。九井さんの家ですか?と尋ねても、違う、と答えるだけで何も教えてくれない。明かりをつけると、中には段ボールの箱があって、覗いてみるとそれは九井さんから貰った衣類やアクセサリー全てだった。

 少しずつ私の頭は察し始めていて、サッと血の気が引くのを感じながら私は九井さんの方へと振り返ると、目の前にカードキーを突き付けられる。それは今日九井さんに渡したものではなく全く別物の。


「お前の家だ」

「え、ここの、」

「葛原、もうオレにお前はいらない(お前を捨てる)



「これからオレに関わるな」


8,不運→←7,九井さん離れ



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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦‍♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります!!最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました!!バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです! (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチンカスヱ x他1人 | 作成日時:2021年11月12日 0時

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