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九井さんには何も言わないで布団を洗濯するために一人でコインランドリーにきた。待ち時間ベンチで本を読みながら洗濯が終わるのを待っていると、他の客が来て私の前を通っていく。洗濯物を入れると、ちらと私の方を向いた。
あ、この人ショッピングモールにいた女の人だ。その人も私に気付いたらしくあ、とこの人も私の顔をみて反応を示した。
「この前の子ですよね?」
「あ、はい。どうも」
「また会いましたね」
にっこりと柔らかい笑みを浮かべて、隣失礼しますね、と私の隣に腰を下ろす。梵天の人以外と話すのはあまりないからちょっと気まずい。でも、その人は人馴れしてるみたいだからすぐに距離を縮めてきた。
「何かの縁ですかね。私は橘日向ていいます」
「えっと…葛原Aです」
「Aちゃん!!素敵な名前だね」
素敵な名前か。恐らく私が唯一母の愛を受けたのは名前だけだろう。あの人の子としていい名前を、とかまあ結局母はその人に愛して貰えなかったけど。今思えば、母も酷いが相手の男もかなり酷いな。搾り取れるだけお金を母から持っていって子どもまで孕ませて最後には捨てて行った。
「そう、ですかね。ありがとうございます、日向さんも素敵だと思いますよ」
「ふふ、ありがとう。よかったらくずした言葉で話さない?是非お友達になりたいなって、」
「お友達、…?」
突然過ぎて、よく理解出来なかったけど取り敢えずお友達になろうということを言われたのは分かった。困惑気味の私に日向さんが嫌だったかな?と返されて、正直に初めてなので、と話すと驚いた顔をされた。
「本当に…!?そっか、そうなんだ。取り敢えず、よろしくね。私よくヒナって呼ばれてるから是非呼んで」
「はい、…あ、よろしくね、ヒナちゃん」
慣れないタメ口で話すのは不思議な感覚で、でも少し同性の人と話すのはとても新鮮でちょっと楽しかった。たくさんヒナちゃんが好きなことや彼女が大好きな恋人の話をたくさん話してくれて今度は私のことを聞いてくる。
「ごめんね、私のことばっかりで!Aちゃんはこの辺りに住んでるの?一人暮らし?」
住んでるところ、九井さんのこともあるからあまり気軽には言えない事だった。この辺りに住んでるのは確かだけど、場所は結構遠いところ、と大雑把に言っておいた。
「一応…えっと…なんというか同居人さんがいる、かな」
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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります!!最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました!!バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです! (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パチンカスヱ x他1人 | 作成日時:2021年11月12日 0時