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「結局こうなるんですね…」
“一応”財布として持ってはいるけど、それを奪われて10万円を現金で入れられる。いなくなったワケを話したらなら、10万で許してやる、という経緯がある。許された結果こうなのか、と眉を下げた。
ちなみにお寿司屋さんは凄く美味しかった。勿論九井さんが連れてってくれるのは回らないお寿司屋さん。もしかしたら帰ることになるかな、という考えは杞憂だった。
「電話の用事、大丈夫だったんですね」
「まぁな」
家に着くと、九井さんは私に風呂先に入っていいから、とだけ言って自分の部屋に入っていった。私は九井さんの家に一緒に住まわせてもらってる。ボロボロでみすぼらしい子どもだった2年前からずっと。言われた通りに先にお風呂に入らせてもらって、上がってからはTシャツとゆるめのスウェットパンツに着替えてキッチンで水を飲んでお風呂で温まった身体を少し冷ます。
お風呂上がったことを言っておこう、と若干戸が開いている九井さんの部屋を覗いた。中は真っ暗で、かたかたとタイピングの音だけが聞こえてくる。
(あれ、今日の仕事終わったんじゃ…?)
疑問符を頭にうかべて、考えてみてもしかして私に気をつかって帰ったあとに仕事をすることにしてくれたのかもしれない、という答えにたどり着く。
言ってくれればよかったのに…いや、九井さん結構私を優先してくれることが多いから言わなかったんだろうな。多分お風呂まだ入らなそうだったし、コーヒー淹れて渡すことにした。
「九井さん、コーヒー淹れておきました」
「ん、あぁ気が利くな」
九井さんはコーヒーを受け取るとまたパソコンに向き直った。急ぎの用だったんだな、私が手伝えることなんてないから黙って出ていこうとして、上着のポケットからスウェットパンツのポケットに入れたミルクキャラメルを出してついでにパソコンの横に置いておく。
「疲れたら甘いもの食べてくださいね。あとちゃんと寝てくださいよ」
「…ありがとう」
「どういたしまして」
柔らかく頭を撫でられて、すぐ子ども扱いだなあと思っていても優しいその手が落ち着くから九井さんがやめるまでそのままでいて頬を少し緩ませた。
「お前成長止まってるよな」
「九井さんが甘やかすからです」
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m(プロフ) - 初コメント失礼します。本当に素晴らしいお話でした。完結前に出会えなかったことは悔しいですが、本当に大好きな作品になりました。人間的なストーリーで心が引き込まれ、感動しました。この作品を作っていただき、残していただき、本当にありがとうございます。 (2023年2月19日 12時) (レス) @page33 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い - 思わず涙がこぼれてしまいました、、、。切ないしもうなんかよかったです。私もテストヤバイ、、、、、 (2021年11月30日 1時) (レス) @page33 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - セツナさん» 読んでくださる方々のおかげで無事完結出来ました🥰感動していただけたんですか…めちゃくちゃ嬉しいです🥺❣️こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました❕ (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 楸さん» あええ大好きなんて悶えます…🤦♀️私もちょっと寂しいなって思ったりしているのでまたココくんの作品書きたいと思ってます❣️頑張ります!!最後まで読んでくれてありがとうございました🤍 (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - アオさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございました!!バンドエンドもいかがだったでしょうか…😌喜んでいただけていたら嬉しいです! (2021年11月29日 16時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パチンカスヱ x他1人 | 作成日時:2021年11月12日 0時