再会 ページ5
その日の放課後、かの少年は私たちのクラス、１-Ｆに現れた。
一瞬ドキリとして、すぐにゆうべの話を思い出す。
そういえば今日も怪談やるって言ってたな。
というかアタシ、まだあの少年の名前知らないや。
ずっと呆けていたからたぶん名乗ったんだろうけど聞いてない。
聞きたいなーとは思っていたんだけど、なんかどうもそういう雰囲気ではなさそうだった。
どこからともなく現れた黒田女史。なーんか顔が険しい。しかもそばにいた恵子やミチル、ひいては麻衣までもなんだか気難しい表情をしていて、とても聞ける感じではなかった。
…………。
えー、やだこの空気……。
とそんなとき、麻衣がこっそりアタシに耳打ちしてきた。
「渋谷氏、やっぱおかしいよ。絶対ウラがある」
え？誰？だれだって？
といったぐあいできょとんとしていると、またもや麻衣の呆れたようなため息が聞こえてきた。
む。また馬鹿にしたなー。
んで結局アタシ達は怪談をすることはナシになり、その後その渋谷さんとやらに呼び出されてしまって今は教室近くの廊下を３人歩いていた。
「あのー……これはいったいどこへ向かっているのでしょうか……」
「無論、旧校舎だが」
麻衣の問いかけに冷たくピシャリ。
一瞬にして今朝起きたばかりの不幸な事故を思い出す……。
アタシははっとして渋谷氏に問いかけた。
「あ、あのっ……今朝の人は、大丈夫なんでしょうか？」
すると彼はとたんに表情を曇らせてしまった。
あ、これはやばいやつ。
いやーな予感しかしないよぉ……。
それなんだが、と足を止めることなく、表情のわりには淡々と言葉を繋げた。
「それだが、左足を捻挫してしまった。かなり酷い状態で、しばらく歩けない」
え、
ええぇぇぇぇぇぇえええ！？！？
まずい、非常にまずいよ。
アタシ達はとんでもないことをしでかしてしまった！！
人のものに勝手に触れようとしたあげく、驚かされたとはいえ怪我までさせちゃうだなんて！！
いやあの時点ですでにどこかしら切っていたんだけどもね！！！
「カメラも壊れた」
いっ、いわないでー……！！
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作者名：椎名羽流 | 作成日時：2017年12月13日 0時
