リナリアの意味【黒】 (ページ8)

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Ep.2-4 ページ8

Side.you

飲み始めて2時間くらいが経った。
ちょうど良い感じで酔いが回ってきて、お手洗いにと席を立つ。

少し千鳥足になった足を進め、お手洗いに行く。
席に戻ろうとした時、いつもなら難なく登れる段差に気づかず躓いてしまった。

思っていた衝撃はなく、瞬時に誰かに支えてもらっている感覚を覚える。

？「大丈夫ですか？」

『いや〜ごめんなさい！怪我とかしてないですか？申し訳ないです。この段差本当ダメですよね、人がダメになる』

両手を顔の前で合わせ謝る。
酔っ払っている勢いもあり、口が饒舌になる。

？「人がダメになるって笑。おねえさん、オモロイっすね。むしろ怪我とかしないです？女の子やから、気いつけてくださいね」

関西弁のその人は、意外にも背が高く整った顔をしていた。

『おにいさんも、素敵な関西弁ですね。ふふふ』

？「だいぶ酔っているみたいやけど、席戻れます？」

そんな会話をしているともう1人通路に入ってきた。

「康二、何してんの？遅い…あ。」

向「違うねん！このおねえさん、転びそうやったから助けたんよ」

その人は関西弁おにいさんの話なんて聞いてないかのように私の方に歩いてくる。

『な、なんでしょうか…？』

かぶっていた帽子とマスクをとるとそこには懐かしい人物の顔が見えた。
驚きで声が出ない、目黒くんだ。

「久しぶり、Aさん」

『ひ、久しぶりだね。目黒くん』

向「えっ知り合い！？」

果たしても奇妙な再会を果たしてしまった。