リナリアの意味【黒】 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:113,289 hit

Ep.6-4 ページ26

Side.目黒

Aちゃんに見送られ車の中で考える。
今日たくさんAちゃんのことを困らせた。
その分、俺を見てくれたと思う。

改めて、あの声も笑顔も独り占めしたくなった。
俺以外に向けて欲しくない。
両手で頬を包まれた時抱きしめたくて仕方なかった。

「全然ダメだな・・・俺」

深いため息をつき彼女に連絡を入れる。
返事には嬉しいとあったけど、きっと優しい彼女のことだからそう言ってくれるんだろう。
Aちゃんのあの曖昧な態度はなんなんだろうか。

あと少しでデビュー、そうしたら改めて気持ちを伝える。
分かってて提案したでしょと怒られそうだけど、俺のそばにいてくれるならそれで良い。
少しの罪悪感より大きすぎる独占欲が勝ってしまう。

【おやすみ】と返事か来ていたので、おやすみと返した。

----------------------------------------------------------------------

翌朝、仕事に行く前にスマホを見ても返事は来てなくて【おはよう】と送る。
いつもなら一時間ほどで返ってくる返事が午後になっても返ってこない。
休憩中、スマホを見ながらため息をつく。

ラ「ため息ついたら幸せに逃げちゃうよ」

隣に座るラウールが俺の顔を覗きながら心配そうに言う。

「もう逃げてるかも」

ラ「もしかして・・・フられちゃったの！？」

その声のデカさにメンバーが集まってきてしまう。
マジで勘弁してくれと思いラウールを睨みつけるけど、反省の色は全くない。

渡「だから朝からそんな死にそうな顔してたの」

「・・・・そんな顔酷いっすか」

宮「酷いっていうか、全体的に元気ないよ」

向「めめにも色々あんのよね！！話したくなったら話してや」

康二のその言葉を皮切りに、
「あんまり思い詰めんなよ」とか「ライブ終わるまでは集中しよう」とか励ましの言葉を俺にかけてくれた。

まだ、彼女からの返事は届かない。
俺はライブに向けて集中する事にした。