リナリアの意味【黒】 (ページ17)

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Ep.4-5 ページ17

Side.目黒

勇気を出して誘いをあっさり断るAさん。
少し俺の顔を見て申し訳なさそうに口を開く。

『…ごめんね。明日仕事じゃなかったら行くんだけど』

「いや、俺のほうこそ自分が明日オフだから、Aさんのこと考えれてなかった。」

そう言うと、ごめんねとまた言いカバンを持つAさんと店の外に出た。
彼女を駅の改札まで送る。

『いやー、今日は楽しかった！ありがとうね、結局来週の土曜何するか全然話してないね笑』

「確かに笑。帰れたら連絡ちょうだい？土曜のことも決めたいし」

分かった！というAさんは俺に手を振り、人混みに消えていく。
彼女の姿が見えなくなってもしばらくその場から動く気にならなかった。

夢のような時間が終わってしまった。
成人式から3年と少し、少し大人の雰囲気を纏っていた。
でも笑うとあの頃の彼女で、俺を素に戻してくれる。

もっと一緒にいたかったなんて考えてると、1件の通知。
Aさんかなと思いスマホを開く。

向【明日、暇？服買いに行かへん？】

目【良いよ】

康二からの連絡か、と思うも返事をする。
タクシーを捕まえ、自宅の住所を伝える。
その間にも康二からの連絡が数件入っているのが通知オンで分かる。
チラッとロック画面で確認すると、Aさんからも1件。

「連絡来てる…ヤバ。」

想像以上に相手からくる連絡に嬉しさが込み上げる。

【さっきは改札まで送ってくれてありがとー！ちゃんと家帰れたよ。目黒くんも気をつけて帰ってね】

文面からAさんの優しさというか気遣いの性格が滲み出てる。
声聞きてえな・・・。

目【ありがと。土曜、どっか行きたい場所ある？】

【行きたいところかー。動物園とか？少々子供っぽいですが…笑】

「動物園って、笑」

行こうと返事をし、都内の動物園を検索する。
大小はあるけど、数が思っていたより多い。

タクシーから見える夏の青々と茂る木々を見ながら、返事が来るのを待った。