Ep.4-4 ページ16
Side.you
飲み物を飲むためマスクを外す目黒くん。
改めてその顔の綺麗さに目を奪われる。
「やっぱ、ビールだね」
笑顔でそ言う彼の上唇には泡が付いてて笑ってしまう。
泡ついてるよと伝えれば照れくさそうに舌で舐めとる。
『さっきボーッとしてたけど、何かお仕事で嫌なことでもあったの?』
「いや、仕事は何もないよ。こっちの話、内緒」
いちいち自分に向けられる優しい顔にドキッとしてしまう。
目黒くんはなんで私と仲良くしてくれるんだろう。
『目黒くんはなんで私と仲良くしてくれるの?』
その質問に彼は少し言葉を詰まらせたように見えた。
何かいけないことでも聞いちゃったかな?
「それは、Aさんが俺に変わらず優しくしてくれるからかな?」
少しの沈黙の後に帰ってくる答え。なるほど。
『みんな優しいじゃん。私だけじゃないよ』
「そうだけど、Aさんは特別」
そう言い残ったビールを飲み干す目黒くん。
特別なんてそんな言葉簡単に女の子に使っちゃダメだよ、目黒くん。
『そっかそっかー。ありがと、嬉しいよ!』
「うわー、流された!」
そこからお酒もお互い進み、
お仕事の話とか何が好きとか目黒くんは私のことをめちゃくちゃ聞いてくる。
『じゃ休日はずっと家で映画見てることが多いの?』
「そうだね、最近はホラー映画にハマってて。怖いの苦手なんだけど見ちゃうよね。夜とか寝れなくなっちゃう」
「ふはっ。何それ、可愛いじゃん」
『寝不足で会社行ったりして、辛い時あるもん。笑』
「……。寝れない時さこの前みたいに電話しようよ」
『えーー、悪いよ。ダメだよ』
「俺がしたいから良いの」
さっきから絶妙に口説かれているような気がする。
目黒くんに至ってそんなことないと思うと自分に言い聞かせる。
『じゃあ、本当に寝れない時は電話するね』
そう言うと目黒くんはうんとまた優しい笑顔で笑う。
気づくと時刻は23時を回っていた。
『目黒くん、終電大丈夫?もう23時だけど』
「ん、大丈夫。Aさんは?」
『私はヤバいから、今日は解散で良い?』
その言葉に目黒くんは少し黙り込んで考える顔をした。
「俺がちゃんと家まで送るから、もう1件行かない?」
『行きません。帰って身体休めてください〜』
「そっか、無理な誘いごめんね」
明らかに悲しそうな顔。
犬の耳が見える、垂れた耳が。
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作者名:Emma | 作成日時:2023年2月3日 10時