Ep.6-1 ページ23
Side.目黒
意識されたくて、咄嗟にAちゃんの手を握る。
余裕ぶった事を言ったけど内心は焦りまくりで。
顔が赤くなるのが自分でも分かる。
マスクしててマジで良かった。
車に乗り、マスクと帽子を外す。
するとAちゃんが俺の方をじっと見ている事に気づく。
「何?そんな見て笑」
『何度見ても綺麗な顔してるなーーって』
笑いながら前を向くAちゃんは、
改めて見るといつもと少し雰囲気が違くて少しドキッとした。
「いやいや、でもありがと」
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目的地の動物園に到着した頃には、お客さんのピークも過ぎていて思ったより人はいなかった。
園内マップを凝視しどこから回ろうか?と俺の顔を覗き込むAちゃん。
「時計回りで良いんじゃない?」
『うわ、適当だ。でもそうしよう、私はワオキツネザルが見れれば満足』
園内を回って驚いたのは、Aちゃんが動物に詳しいってこと。
大体の動物の名前を当てるし、豆知識なんかも教えてくれる。
今度阿部ちゃんにクイズでも出そっかな。
お目当てのワオキツネザルの檻の前で目を輝かせるAちゃん。
俺はベンチに腰掛けはしゃぐ彼女の後ろ姿を見ていた。
ハイウエストのスキニーにインされてるオーバーサイズのTシャツが彼女の細さを余計に際立たせてる。
いつも低めに位置で1つに縛ってある髪も今日はアップにされて綺麗にまとめられている。
絶対モテるだろうな。
ボーッとそんな事を考えてると、少し心配そうなAちゃんの顔が目の前にあった。
『大丈夫?疲れちゃった?』
「いや、大丈夫。サル見れた?」
そう聞くと、見れた!と嬉しそうな笑顔。
堪らなく抱きしめたくなるし、独占欲が己の中で高まっていくのが分かる。
「その顔俺以外に見せないで」
『え?どういう意味』
「そのまま。俺、Aちゃんの事好きなんだよね。結構しっかりアピールしてたつもりだったんだけど…」
『…えっと、ありがとう…。その、凄く驚いてる。目黒くんアイドルだし、私は仲の良い女友達としか見てないと思って居たものですから。確かにちょっとあれ?って思ったけど、自然に言える人なのかなって』
「好きな人以外にそんな事言わない。まず、出かけようなんて誘わないし」
明らかに、困っている顔のAちゃん。そうやって俺のことだけを考えれば良い。
少しづつ、また彼女の口から言葉が出てくる。
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作者名:Emma | 作成日時:2023年2月3日 10時