PARACAGE 9th【ars】 (ページ33)

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313.せい。ページ33

「皆に気を使わせるのも悪いし、色々考えてここを出ようって決めたの」

雅紀くんが言うと、智くんは「別におれ達は二人が付き合ってたってこれまでと何も変わらないけど、きっと相葉ちゃん達は気を使っちゃうだろうね」って優しく微笑む。
菩薩みたい。

「住む家とかはもう決めてんの？」

ちょっと心配そうに眉間に皺を寄せた翔さんが雅紀くんに問う。

「んーん、まだこれから。俺がモデル辞めて、一般人になってからAちゃんと一緒に探しに行って決めるつもり」

翔さんがチラっと私を見たから同じ気持ちだって意味を込めて頷くと、彼も眉間の皺を消して頷いた。

「なぁ相葉さん」
「ん？」
「お前がモデル辞める理由って、さっき言ってたのが全部？」
「えっ...？」

腕を組んで話を聞いてたニノくんからの質問に、雅紀くんの動きが止まる。
なのに、目だけが宙を彷徨っててあきらかに様子がおかしい。
潤くんが堪らなくなったようにブハッと吹き出して、「ちょ...潤ちゃん！」って雅紀くんが何だか気まずそうな顔。

「あー、潤くん何か知ってんのー？」

そんな二人を見たニノくんが、前のめりになって両頬杖をつきニヤっと笑う。
ニノくん、そこ！そこ、掘り下げて！頑張って！！さっき私がはぐらかされた話と同じ気がする！！

「さぁ。俺からは何とも」
「ふーん、じゃ、良いや」

うっそ！アッサリ引き下がった！！

「潤くんが教えてくんないから、オレが思ったコト言うね？」

頬杖の体勢を変えず、ニノくんが雅紀くんに話しかける。

「モデル辞めんのはもしかして、Aと一緒に暮らす為？んー...もしくは、周りの目を気にしないで済むように？」

ニノくんのその言葉に、ドキともキュンとも違う感じで胸が縮んだ。

「あ...いや...」
「一緒に暮らしてると忘れがちだけど、相葉さんって一応有名人だし」
「......」
「毎月、本屋に相葉さんの表紙が並んでんだもん。やっぱ、普通の生活するには難しい部分もあんじゃないの？」

何も言わずに雅紀くんは唇を噛んでる。

「......雅紀くんがモデル辞めるの、私のせい...？」

負担にはなりたくないと思ってた。
足枷にだけは、なりたくなかった。
だけど、私はもしかすると雅紀くんを縛ってしまう存在だったのかもしれない。

「Aさん」

泣きそうな気持でいたら、翔さんが優しい声で

「Aさんの『せい』って言い方を、ちょっと変えましょうか」

そう言った。