PARACAGE 9th【ars】 (ページ3)

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283.言いたい事。ページ3

結局ソワソワしてる。
朝からずーっとソワソワしてる。

夕飯の準備も全部終わって、ソファで忠犬。
智くんは仕事を終えて、リビングで寛いでた翔さんと談笑中。
二人とも、あえて私を放置してくれてる感じ。ありがたい。今、ソワソワし過ぎて余裕が無い。

ガラガラと玄関の扉が開く音。
思わず立ち上がってしまった私を見て、二人が目を丸くしてる。

「ただいまー」
「...ニノくんか...」
「ガッカリすんじゃねぇよ！オレだって帰って来るわ！」

ソファにストンと座った私を見て、目を丸くしてた二人がケラケラ笑った。
と、同時にまた扉の音。座ったばかりなのに立ち上がってしまう。

「ただいま。あ、味噌煮の匂い」
「潤くん、おかえりー」
「おう、カズ」

ソファに座り直した私を見て、また二人が笑ってる。

「何？」

潤くんが不審そうに翔さん達を見ると「Aちゃんが一番待ってる人が帰って来ないから」って智くんがクスクス笑う。

「オレなんてあからさまにガッカリされたからね、失礼だわコイツ」
「ふーん...」

ニノくんの言葉に潤くんの反応は薄い。

...潤くんにはあんまり言わないで欲しいかも...ってゆーか言わないで欲しい。さすがに気まずい...。

「潤、今日は残業無かったの？帰り早かったけど」

私が気まずさで何も言えずにいると、翔さんが潤くんに訊いた。
潤くんはマフラーを外しながら、目を伏せる。

「雅紀に言いたい事、あるから」

それだけ言うと、彼はリビングから出ていった。

不思議そうにニノくんがその後ろ姿を見て

「...喧嘩になんなきゃ良いけど...」

呟く。

「...喧嘩...？」
「だって、潤くんが相葉さんに言いたい事があるとしたら1個しか無くない？」
「.....」
「何であっちでの仕事内容を、お前に何も言わなかったかーって事だろ」

浮かれてソワソワしてた気持ちが、簡単に萎んで行く。
浮かれてた事自体が、恥ずかしい。

「まぁ潤くんなら大丈夫か。理性的な人だし」

ニノくんが「オレも着替えて来よ」とリビングを出て行く。

「Aさん、大丈夫ですよ」

翔さんが、少しだけ困ったように眉を下げる。

「潤はカズの言う通り、感情的になったりはしないですよ」
「...はい」

壁時計を見上げる。
19時を過ぎた所。

雅紀くんも、そろそろ帰って来るかもしれない。

少し居心地が悪くなってしまった私は、キッチンに行ってご飯を温め直し始めた。