PARACAGE 9th【ars】 (ページ13)

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293.平和主義。ページ13

私が何をしてたって訳じゃ無いんだけど、何だか申し訳無くなって「ごめん...」って謝るとニノくんは「お前に謝られる覚えが無い」ってクフフと笑った。

「別にうるさかった訳じゃ無いのよ。気になって仕方無かっただけ」
「え？」
「だって絶対に潤くんの部屋に来てるのは相葉さんだし、喧嘩になったらどうしようって」
「ニノくん、昨日も喧嘩にならないか心配してたね」
「オレ、平和主義者だからねぇ。アラソイゴトは嫌い」

やっと伏せてた上体を起こすと、唇を尖らせたニノくんはフゥフゥとコーヒーを冷まして一口飲んだ。

「で？相葉さんとAは、平和的解決は出来たの？」
「あ...うん、お陰様で...」

ニノくんの対面に座り、私もコーヒーを飲む。

「そ。良かったじゃん」

頬杖をついた彼は、口の端をキュっと上げて微笑んだ。

「...天使みたいな顔してるね」
「はぁ？今頃気付いたのかよ」
「顔だけが天使だね」
「ハートも天使だわ」

はぁ？はぁ？って睨み合って罵り合う。
そしてそのやり取りにお互いすぐ飽きる。
...何か小学生みたい。私達。

「そう言えば潤くん、もう仕事行ったのかな」
「あ...そうだね...」
「頑張るマンだねー、あの人は」
「うん...」
「ん？」
「あ、ううん！そろそろ私、メイクしなきゃ」

身支度をする為に部屋へ戻った私は、すぐにスマホを出した。
そして、LINEを開きメッセージを送る。

『潤くん、今日の帰りは何時頃？』

返事はお昼休みの時間かな...と思ってたら、既読がすぐについた。
そして、返信もすぐだった。

『今日は21時頃には帰れるけど』

私はこのままにしていたらいけない事が、まだある。

『ちょっと話したい事があるんだけど、駅前で待ってても良い？』

でも送ってしまってからすぐに心配になった。
もしかすると、話す事は私の自己満足かもしれない。
潤くんはもう私と話す事なんか無いかもしれないし、話したいとも思ってないかもしれない。
...どうしよう。

慌てて『迷惑なら全然断ってくれて良いから！』って私が送ったのと
『じゃあ、こないだ行ったおでん屋で飲むか』って返事が来たのが同時だった。

『いつ誰が迷惑だって言ったんだよ。勝手に人の感情を決めんな』

何だか、潤くんの声まで聴こえて来そうな文。

『外で待ってんの寒いだろうし、先に店行ってて。場所覚えてる？』
『うん。大丈夫』

『ありがとう』って打ちこんで、ちょっと考えて送る前に消した。