PARACAGE 9th【ars】 (ページ6)

今日:5 hit、昨日:16 hit、合計:1,204,706 hit

286.迷惑。ページ6

「まぁでも、俺には答えなくって良いよ」

食べ終わった食器を重ねながら、潤くんが言う。

「Aも雅紀が誰と仕事して来たか、知ってるから。何も隠せてないから」
「なぁ潤、もう...」
「翔さん、俺間違ってる？」
「いや...」

潤くんが食器を持って立ち上がった。

「お前らは、ちゃんと話す必要があると思う。上辺だけで喋らずに、本心で」

彼は私の事も睨むようにして、そして目を伏せた。

「......迷惑だよ。同じ家の中で、歪な関係見せられんの」

ごちそうさま、と小さな声で呟き潤くんはキッチンに食器を運ぶとそのままダイニングを出て行った。

シン、と空気が張り詰める。
誰も何も言いださなくて、雅紀くんが俯き静かに息を吐き出した。

「...そうだね、潤の言う事は間違ってないと思う」

沈黙に翔さんの柔らかい声が流れる。

「雅紀とAさんは、もっとちゃんとお互いを知らなきゃいけない。知ろうとしなきゃいけない」
「......翔ちゃん、俺...」
「雅紀が話す相手は僕じゃないでしょ」

翔さんも食器を重ねはじめる。
その横でニノくんも同じように、片付け始めた。

「ごめんね、相葉さん」

ニノくんが、ボソっと話す。

「Aにアキラのコト話したの、オレ」

ハッキリとその名前が出て、胸がギリ...と痛む。
雅紀くんがどんな顔をしてるのか、怖くて見られない。

「黙ってた方が平和だったのかもしんないけど。でも、黙ってらんないでしょ」
「......」

雅紀くんは、何も言わない。

「だってオレ、相葉さんの友達だけどAとも友達なんだもん」
「......」
「結構可愛がってるんだもん、Aのコト」
「......」
「相葉さんが嘘つきになったら、オレやだし」
「ニノちゃん...」
「隠し事下手なくせに、たまに隠したモンがとんでも無くデッカイって何なのよ。バカなの？」

ケラっと笑ったニノくんに釣られるように、翔さんもクスっと笑う。

「さ、後はお二人さんで話し合って下さい」
「Aさんも、言いたい事はちゃんと言うんですよ？」
「ほら、大野さんも行くよー」

二人が立ち上がり、食器を片してダイニングを出て行く。
智くんも食器を手にして立ち上がった。

「Aちゃん」

優しい声。

「ご飯、ごちそうさま。やっぱり誰かを想って作ったご飯って特別美味しくなるんだね」

チラっと雅紀くんを見てから智くんも出て行き、ダイニングには私と雅紀くんだけになった。