PARACAGE 9th【ars】 (ページ35)

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315.泡。ページ35

「さてと。俺、明日早いし先に寝ても良いかな」

潤くんがグラスに残ってたシャンパンを飲み干して立ち上がる。

「片付けは俺達でやっとくから」

雅紀くんが言うと、彼は「当然でしょ」って笑ってダイニングを出て行った。

五人になったダイニング。
明日からは、この状態が日常になる。
椅子が一個、余る。
きっと皆が同じことを感じてたんだと思うけど、誰も口には出さなかった。

「ま、暫くしたら三人になるしねー」

少しシンミリしてた空気を、ニノくんのカラっとした声が破った。

「翔くん、住人募集すんの？」
「んー、住みたいって人が居たらね」
「おい、相葉さん！可愛いモデルのオンナノコにここを紹介しろ！出来ればオレより小さい子！」

ニノくん、目が結構本気。

「モデルの子だと小さいってのは...読モちゃんだと小さい子も多いかぁ、誰か居るかな」

そして、結構真剣に考えてあげてる雅紀くん。

そんな話をしながら、五人で後片付けをする。
私と雅紀くんが洗い物をする事になって、二人でシンクの前に並んだ。
後の三人はリビングの飾り付けを片したり、掃除をしてる。

「Aちゃん」
「ん？」
「さっきの話なんだけど...」
「あ...うん...」
「俺、Aちゃんに嘘はついてなくて」

ゴシゴシとお皿を洗ってる雅紀くんの手元。
そんなに力入れたらお皿割れちゃいそう。

「でも、Aちゃんに窮屈な想いをさせたくないってのもあって」
「うん...」
「この先、俺が守るべきモノは何かなぁ…って考えたら、やっぱそれってAちゃんだし」
「う...ん...」

喉が詰まって変な間が出来た。
動揺しすぎだ...って、動揺しないはずが無い！こんな言葉。

「でもね！誤解しないで欲しいんだけど、モデル辞めるのは本当に何の悔いも無いの」

雅紀くんが勢いよくこっちを見たら、一緒に泡も飛んできた。

「あっ！ごめんごめん」

笑いながら頭を払ってくれてる。
頭に泡が乗ってるのか、私。なかなか間抜け。そりゃ笑われる。

「ただねAちゃんに、この理由を言うとモデル辞めんの反対されかねないと思って」
「あ...」

確かに、私とのこれからの為に...とか言われちゃったら、そんな事で辞めないで！って言ってしまったかもしれない。

「だから、ちょっと言えないなぁって隠してた」

泡を払ってた手が、ポンッて頭に乗った。

「バレちゃったけどね！」
「フフッ、そうだね」
「みんな鋭いなー」

雅紀くんが、ちょっと悔しそうに笑った。