PARACAGE 8th【ars】 (ページ2)

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247.映画監督。ページ2

「相葉さんがどんな仕事しに行くのかは、聞いた？」
「ううん、ロケとしか聞いてないけど...ねぇ、何？」

さすがにニノくんの様子がおかしい事くらい、分かる。
彼は何も言わず、読んでた雑誌のページを人差し指でトントンと叩いた。

「...何？」
「おそらくこれが、相葉さんのお仕事」
「え？」
「まぁ、メンストのロケもあるだろうけどね。せっかく海外まで飛ぶんだから」

ニノくんの隣に座って、その雑誌を覗き込む。
指差されてたのは、そんなに大きな記事では無い。
ファッション業界のトピックが書いてあるページのようで、文字ばかりの中に雅紀くん...と言うか咲くんの小さな写真があった。
その周りに羅列してる文字を読む。

ローテーブルに私とニノくんののコーヒーを置いた潤くんが、ニノくんを挟んで私とは反対側に座ってコーヒーを飲んでる。
ズズズーっと啜って、ハァと満足そうに息を吐き出した。

記事の内容はロンドンで活動してる日本人デザイナーが大きな賞を受賞して、咲くんがそのインタビューをする...という物。

「インタビュー...雅紀くん、そんなお仕事もするんだ」
「初めてじゃない？アイツ、写真仕事しかしてなかったはずだもん」

向こう側から潤くんが言った。

「インタビューなんか出来るのかね、雅紀に」
「出来るよ」

潤くんの言葉に、何故かニノくんは即答した。

「アキラ・クロサキ...何か映画監督さんみたいなお名前のデザイナーさんだね！ダンディーなおじ様かな」

アハッと笑って言うと、潤くんが「え？」と雑誌を見た。

「確かに映画監督みたいって、ずっと言われてたわ」

ニノくんが呟く。

「ニノくん、知ってる人なの？」
「元同僚」
「......元、同僚...」
「一応それ、おじさんじゃねぇよ。しっぶい名前だけど」

「ニノ、これ...」って潤くんが苦い顔をする。

「いや...余計、これ雅紀インタビュー出来んのかよ...」
「出来るからその仕事受けたって事でしょ？」

二人の会話が何の話なのか、全然分かんないくらいに私が鈍感なら良かったのに。

「ニノくんの元同僚って事は、雅紀くんの元同僚でもあるよね...？」
「ただの同僚だけどね」
「...雅紀くんにとっては、『ただの同僚』じゃないよね...？」
「......どうだろ」
「全部聞いたから、雅紀くんから。...知ってるから大丈夫」

そう言うと、ニノくんは「そ」と小さく相槌を打ち「本当にこの件は、何も聞いてないの？」と、私に問う。