PARACAGE 8th【ars】 (ページ25)

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270.誤解を招く。ページ25

その時、玄関から音がして

そんな訳ないのに、雅紀くんが帰って来た？なんて思ってしまう自分が恥ずかしくて、ちょっと嫌になった。

「ただいま」

当然だけどダイニングに入って来たのは雅紀くんのはずが無くて。

「そんな所に集まって何してんの」

縁側で3人固まってる私達を見た潤くんは、訝しげ。
ジャケットを脱ぎながらこっちに歩いて来る。

「相葉ちゃんが居ない隙に、Aちゃんを可愛がろうって話」
「うわー...何なの、その卑猥な話」

智くんの誤解を招きかねない台詞に、潤くんが露骨に顔を顰めた。
そりゃそうだ。

「まーたおじさんはそーゆー紛らわしい言い方するし」
「でも、本当にそーゆー話をしてたでしょ？」
「違う違う、潤くん違うのよ」

ニノくんが言うと、潤くんは「まぁ俺が想像したようなプレイとは違うだろうけど」って笑いながらネクタイ緩めてる。
潤くん...そのスマートなお顔でどんなプレイを想像したの...。

彼はスマートな表情のままでソファに腰掛ける。
その横にニノくんがポスンと座った。
智くんと私は、縁側に座ったまま。

「プレイとかじゃなくて、まぁ、何てゆーの？精神論？」
「難しい話？」
「ううん、簡単な話。元気無い奴が居たら、可愛がって元気付けてやろうって事」
「あーそういう事？いや、大野さん、言い方おかしいわ」

潤くんが困り笑顔で智くんに言う。
智くんは「おかしいかな？」って、割と真面目に首を傾げてる。

「って事は、Aが元気無いって訳ね」

腕と脚を組んだ潤くんに言われて、何だか平伏したくなる。
頭を垂れそうになるのを抑えて、アハーって笑うと「愛想笑い下手か」って言われた。自覚ある。

「あー...雅紀、今日からか」
「それに加えてオレの口がちょっと粗相しちゃって」
「カズが？」
「ごめんね、A」

智くんが不安そうに「やっぱりニノが悪かったの？」って訊いて来たから、ううん！って首を振って否定しておいた。

「とにかくAちゃん、相葉ちゃんが居ない間はおれ達に甘えて良いんだからね？」
「フフッ、それ翔さんにも言われた。お兄ちゃんだと思って甘えろって」
「そうだよ、何でも話してね」

そう言って、智くんはいつものように頭を撫でてくれる。

「ま、どんなに甘えてても話せない事だってあるけどね...」

ソファから立ち上がりながら呟いた潤くんが、ニコッと笑い「風呂行く」と部屋を出て行った。