PARACAGE 7th【ars】 (ページ8)

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218.素直すぎる程に。ページ8

どうやら今日一緒に打ち合わせをしてた雅紀くんとヒロシ君は、仕事が終わったら飲みに行こうって話になったらしい。
その時に彼女がいるのか雅紀くんから訊かれたヒロシ君がアカリに電話して来て、せっかくだったら合流しようって事で今に至る...と。

「咲、この子が俺の彼女のアカリ」

ヒロシ君が、隣に座ってるアカリをジャーン！って感じで両手を使って紹介する。

「咲くん、ごめんなさい。ヒロシ、強引で迷惑だったでしょう？」
「強引ちゃうよ、同意の元やで」
「そんなの分かんないでしょ！ヒロシは人のペースを乱すんだから！」
「乱さへんってば！その人の意見を尊重する！」
「どこがよー」

2人がワーワーしてるのを見ながら、雅紀くんが「アカリちゃんも初めましてじゃないよね」って微笑んだ。

「えっ？そんなん俺、初耳やで？」

ヒロシ君がアカリに向かってビックリした顔になる。

「前にうちの店の近所で咲くんが撮影してたの。そこを通りかかったってだけだよ」
「通り掛かっただけの女子を咲は覚えてるん！？」

今度は雅紀くんに向かってビックリ顔。

「アハハッ、さすがにそれだけでは覚えらんないよー！そん時、Aちゃんと俺の友達も一緒に居たから、挨拶したの」
「あー、なるほどなぁ。アカリはオマケやな！」

アッサリ納得して笑ってる。
ヒロシ君の良い所は、この素直すぎる程に素直な所だ。
きっとこの子、浮気も出来ないし、万が一してもバレる。

「え？でも」

今度は私を見て「そもそもAっちと咲は何で友達なん？」と質問。

...うわ、どうする！？
何って説明する！？
アカリも目がキョロキョロしちゃってる。

「俺とAちゃん、ご近所なの」

その時、雅紀くんが私の代わりにサラっと答えた。

「お隣さんなんだよね？」
「あ...あぁ！うん、そう！」

そうそう、そうだよ。間違ってない。嘘じゃない。
本当にお隣さんだ。
...ちょっと部屋の距離近いけど...。

「隣！？マジで！？」
「うん。引っ越したらお隣さんが、ま...咲くんだったの」
「へぇ！凄いな、Aっち！そんなん、ドラマみたいやん！」

ヒロシ君の言葉に、雅紀くんが「ドラマ？」って不思議そうにした。

「だってさぁ、Aっちって咲の」

マズイ！私が咲くんのファンだってコト話してないのに！

「...あぁっ！ほら！二人とも、飲み物どうする？」

何も言わせないように慌てて言うと、彼は「じゃあ俺はビールー！」ってやっぱり素直に応えてくれた。