PARACAGE 7th【ars】 (ページ35)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:1,010,466 hit

245.尋問。ページ35

その日は土曜だったから、仕事を終えて帰るとリビングにニノくんと潤くんが居た。

潤くんは映画を観てる。

ニノくんはファッション誌...と言っても私が読むような日常的なファッションが載ってる物じゃなくてコレクションなんかが載ってるハイファッション誌。
彼にとってはそれを読むのも仕事なんだろうと思う。

「ただいまー」
「おかえりー」
「おかえり」

こっちを見て言ったのはニノくん。
潤くんはテレビ画面を見たまま。

「あっ！A、昨日はどーだったー？」

部屋に戻ろうと思ったら、突然ニノくんが言ったからずっこけそうになった。

「きっ...きのっ...昨日って何のこと！？」
「何のことって、デートしてたんじゃないの？」
「まぁ...うん」

ニノくんがニタニタしてる。
そんな下品な顔したら可愛いお顔が台無しよ！

「ちゃんと雅紀に訊いたの？」

潤くんがエンドロールになった画面を消して、こっちを見た。

「訊く？」
「はぁ？俺がせっかくアドバイスしてやったのに忘れたのかよ」
「...あっ！」

ニノくんが「なになに？何の話？」って潤くんにすり寄る。

「んー？Aが自分は雅紀の彼女なのか？って悩んでたから、そんなの本人に訊けば良いじゃんって話をしたんだよ」
「あー、なるほどね。そりゃそうだ。で？で？A、どうだったのよ」

「ほら、こっち来て座りなさいな」って、ニノくんが手招き。
渋々、ソファに私も座った。

「...訊いてない」

私の答えに潤くんは「結局煮え切らないまんまかよー」って、溜息。

「ってゆーか、別に訊かなくっても良いかなぁって思ったってゆーか...そもそもそんな事自体忘れてたってゆーか...」
「は？」

潤くんは不可解って表情をしたんだけど、ニノくんは対照的に「あぁ！」って大きな声を出した。
そして

「訊かなくっても良い状態になったって事だろ！」

私を指差して、言い放つ。

「自分は彼女だって自信が持てるような事が二人の間にあったって事だよ、潤くん！」
「...あぁ！そーゆー事！？」

なるほどねー...と、潤くんがうんうんと頷く。

「違うっ！二人が想像してるような事は無い！」

慌てて否定。

「じゃあ何よ」
「......」
「チューくらいしたんでしょーよ」
「......」
「ベロチューしたんでしょーよ」
「それはしてない！」
「『それは』って事は、普通のチューはしたのね」

ニノくんの誘導尋問に簡単に引っ掛かってしまった。情けない。