PARACAGE 7th【ars】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:1,010,479 hit

224.猫関係。ページ14

季節は秋が深まり、縁側の窓を開けっ放しにする事が減って来た。

ニゴは寒いのか、いつも誰かに寄り添ってる。
そんな時、智くんは産まれた時からニゴとニコイチ？って思っちゃう位に自然で、翔さんは可愛がってるのに何故か時々引っ掻かれてる。
ニノくんはニゴは人間なのか？って位に普通に喋りかけるし、潤くんはデレデレと嬉しそうにニゴの背中を撫でる。
雅紀くんはニゴと遊んでる事が多い。猫じゃらしとか使って。

でも、最近は雅紀くんのそんな姿もあんまり見れない。
仕事が忙しいらしく、あまり家に居ない。

「まさかまた...」と不安にもなったけど、遅くなってもテラハウスには帰って来てるし、酔っててもほろ酔い程度でベロベロに酔っ払ってる事も無い。
ただ、疲れてるみたいですぐに寝ちゃってる。
帰って来て、そのままソファに倒れ込んで寝てるのもよく見る。

それでも、「Aちゃん、ただいま」って掛けてくれる声は優しくて

「お疲れ様」って雅紀くんに言う為に、私は夜遅くまでリビングで起きてる事が増えた。

一度、雅紀くんが遅く帰って来た時にリビングに居る私を見てビックリしてる日があった。

「まだ起きてたの？」
「あ...うん、ちょっと見てたテレビが気になっちゃって」

本当はちょっとでも顔を合わせたくって雅紀くんを待ってたんだけど言い訳でそう言ったらテレビの中ではチケット情報番組が流れてて、彼は「何か舞台でも観に行くの？」って不思議そうだった。

だけどその時、雅紀くんは私の隣に座り呟いた。

「帰って来て、家が真っ暗じゃないのってホッとするね」

口角を緩く上げた横顔が、何だか儚げで
彼の傍に居たいって、本当に自然と思って。

「一人暮らしじゃない特権だね」

そう言った私の肩に雅紀くんはコテンと頭を乗せて、「そだね」と小さく笑った。

「お疲れ様、雅紀くん」
「ん、ありがと」

その僅かなやり取りが嬉しくて、私は出来るだけ起きて雅紀くんを待つようになる。

「夜更かしはお肌の大敵ー」

今日もリビングで起きてる私に向かって、ニノくんが嫌味に笑う。

「早く寝ただけでニノくんみたいな美肌になれる？」
「いやー、オレのは天然モンだからねぇ」

自分のほっぺたを両手で挟みながら出て行ったニノくんと一緒にリビングを出て行こうとしてた智くんが振り返り

「寝不足にならないように気を付けてね」

と、優しく微笑んだ。

一人になったリビングで、ひとつあくびが零れた。