PARACAGE 7th【ars】 (ページ11)

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221.子犬。ページ11

結局、雅紀くんが送りライオンになる事は無く。
無事に(？)家まで送って貰って...って言っても同じ家に帰るんだけど。

お風呂から上がったら、リビングにニノくんが居たから「何してるのー？」と声を掛けてみた。

「んー？別に何もしてないけど」

バスタオルを被って髪を拭きながら隣に座り彼の手元を覗いたら、スマホのアプリでニュースを読んでる。

「そんな小さな画面見なくっても、テレビ点けたら夜のニュースやってるよ？」
「興味無いニュースまで流れて来るじゃん」
「まぁそうだけど」
「オレ、好きなモンだけを摂取したいタイプなの」

ニュースを読み終わったのかスマホを傍らに置いて、ニノくんはアクビした。

「そう言えば、Aって今日相葉さんと一緒に帰って来たよな？」
「え？うん...何で知ってるの？」

帰って来た時は、誰もリビングに居なかったのに。

「オレの部屋、通り側だから。外から相葉さんの声聴こえて、うるせぇなぁって外見たらAも一緒だったってだけ」
「あ、そっか」

自分の部屋が庭側だから気付かなかった。

「そんなにうるさかった？」
「お前の声は聴こえなかったけどね。アイツの笑い声よ、あれが響くの」
「フフッ、近所迷惑になるよって注意しとくね」
「ふーん、へぇー」
「...なに」

ニノくんの目が、スーっと細くなってその口角がニィっと上がる。

「何か、世話焼き女房な台詞ー」
「はっ！？そんなんじゃないし！」
「で？今日はチョメチョメして帰って来たワケ？」
「何言ってんの、セクハラで訴えるよ」
「どこに訴えんのよ」
「...潤くん！」
「あ、それちょっと怖い、やめて」

フルフル首を振って拒否してる。
潤くんはこんな時でも頼りになるのか。凄い、最後の切り札的存在。

「で？で？チョメチョメ...」
「嘘でしょ、まだ言うのー？」
「だってー！気になるじゃん！」

オモチャを見付けた子犬みたいな表情で私にグイグイ近付いて来るけど、言ってる内容が全く子犬じゃないから可愛くない。

「なーんにもしてない」
「え？ホントに？」
「今日だって約束してた訳じゃなくって、偶然会ったから一緒に帰って来ただけだし...」
「そうなの？てっきりデートして帰って来たんだと思ったのに」

フンっと小さく鼻で息を吐き出して、ニノくんは唇を尖らせた。
いやいや、その表情したいのは私の方だよ。

...本当は、ライオンに襲われたって良かったのに。

そんな事を考えてる自分が、死ぬ程恥ずかしいけど。