PARACAGE 6th【ars】 (ページ25)

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200.そーゆー事。ページ25

ピンと伸びた背中。
柔らかそうな黒髪。
白い首筋。
神様が精魂込めて造ったんだろうなぁと思う、目と鼻と口。

潤くんが歩くと、すれ違う人がコソッと盗み見してるのが隣に居ると分かる。
それは、女の人に限らず男性も。

「でもさぁ」

そんな彼が口を開いた。

「雅紀、何もしなかったんだよな」
「うん...潤くんが思ってるような事は何も...」
「俺的にキス位はしてんだろーなーって思ってるけど」
「無い無い！...あっ.....無い...」
「お前今、何か思い出したろ。まぁ、どっちでも良いけど」
「.....」

ほっぺにはされたけど...
されたけど、あれはきっと潤くんの思ってるキスとは違う！

「あの雅紀がねぇ...。出会って五分で挿れちゃうよーな人なのに」
「潤くん...それ、私にはヘビー...」
「お！すまんすまん！」

アッハッハ！って朗らかに笑ってる。
朝からこんな下ネタぶち込んで来る人だったなんて。
いやいや、良いんだよ。
嫌いじゃないよ。むしろ、好感。
ただ、雅紀くんのそのネタはちょっともう受け入れるの難しい。

「で？結局お前らは付き合うって事ね？」
「え？」
「え？」
「付き合う...の？」
「は？自分達の事だろ」

...付き合うとか、そんな話...した？
.....してない。

「何だよ、海でそーゆー事になったんじゃないのかよ」
「そーゆー...？」
「『好きです』『私も』『付き合ってください』『はい』的な」

雅紀くんの台詞と私の台詞で、声色を変えてる。細かい。

「そーゆーのがあったんだろ？」
「.....無いな...」
「いやいや、でも好きとかは言われたんだよな？だから、部屋にまで入ったんだろ？」

潤くんが私の腕をポンッと叩いた。

「好き...うん、言われた...ような...言われた？のかな...」
「煮え切らないな」
「好き、なのかも...って言われた」
「なのかも？」
「なのかな...って」
「なのかな？そっちも煮え切らないな。何なの、お前ら」
「うーん...」

だけど、手は繋いだし一緒に寝たし、ほっぺだけどキスもされたしハグもされた。
優しく扱ってくれてる実感はある。

「まぁ、でもアイツが簡単に手を出さない事が他の女とは違うって事なんじゃない？」
「あ、それは言われた」
「ん？」
「私は全然違うって。みんなと、違うって」
「へぇ、良いんじゃない？特別って感じで」

そっか。そうだよね。
特別か。特別。

「おいおい、ヘラヘラしてんなよ」
「ヘヘッ」

呆れ顔の潤くんと、改札をくぐった。