PARACAGE 6th【ars】 (ページ20)

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195.CREAM。ページ20

そろそろ着替え終わったかな...？

ソロリと布団から目を出すと、雅紀くんは着替え終えてキャップを被ってる所だった。
そしてチェストの上にある香水を手首に吹き掛けて、首にキュっと擦りつける。

「ねぇ、Aちゃん」
「...うん？」

雅紀くんがポスンとベッドの端に腰を下ろす。

「カブ子に乗ったのって、初めてだった？」
「あ...ううん、前に翔さんに乗せて貰って...」
「えっ！そうだったの？うわー...何か悔しい」
「あ、でも、遊びに言った訳じゃ無くって！買い出しで！」
「だけど、俺がお初じゃなかったんでしょ？」
「...それはそうなんだけど...」

寝てる私を、雅紀くんが見下ろす。
ちょっと口が尖ってる。

「まさか翔ちゃんに先越されるとは」
「だから...そんなんじゃ無いよ？」
「悔しいモンは悔しいの」

拗ねてるような雅紀くんの顔をジィっと見ると、「なぁんだよっ！」って掌で目隠しされた。

うぅぅ...甘い...胸の中が激甘なクリームでドロドロにされてる気分だ。

「あ...、こんな時間か。カワイコちゃんと戯れてる場合じゃ無かった」

カワイコちゃんって誰のコトですかぁぁぁ！！！
もう駄目、今日の仕事休みたい...出勤しても私、使い物にならないよ...

でもそうも言ってられない。
私もそろそろ起きなきゃ。

起き上がると、リュックを背負ってる最中の雅紀くんがこっちを見た。

「まだ寝てて良いよ？」
「ううん、私も仕事だし...」

よっこいしょ...なんていつも通りにおばさん臭くベッドから下りたら、包み込むようにふんわり抱き締められた。
息が止まりそう。

「ここの誰かに、こんな風にされた事はある？」
「...無い...雅紀くんだけ...」
「やった！お初、頂きました」

私をキュウっと抱き締めた後にポンポンと背中を叩いて、雅紀くんは身体を離した。

「俺、今日のお仕事頑張れそう！」
「...私、も...」

嘘です。
頑張るどころか、休みたいとまで思ってます。ごめんなさい。

もう朝からHP削られまくってる私は、自分の部屋の戻る為にフラフラとドアの方へ向かう。

ふぅ...と呼吸を整えてドアを開く。
見える景色が、いつもとドア一個分違う。

本当に私、雅紀くんの部屋に居たんだ...

そんな事を思った瞬間

紫色のドアが開き、出て来た潤くんの眼鏡越しの目が私を見た。

「え...お前、何してんの...？」

彼が眉を顰めた時

「Aちゃん、どした？」

背後から私に覆い被さるように、雅紀くんが顔を出した。