PARACAGE 5th【ars】 (ページ5)

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145.懐く。ページ5

「お前ら仲良いから一緒に考えたのかと思った」

彼はそう言いながら、目玉焼きの乗ったトーストを齧ってる。
智くんが潤くんの手元にある牛乳を一口飲んだ。

「仲...良い！？」

嘘、そんな風に見えてるの！？
どうしよう、嬉しいトコ！？ヤバいトコ！？
分かんない、感情迷子。

「飲んで帰って来たりしてたじゃん」
「...一回だけだよ？」
「懐いてる感じするけど」
「懐く...って誰が...」

私が雅紀くんに懐いてるように見えてるなら、それは絶対にヤバい...。
知らず知らずにスキスキ光線出ちゃってるなら、本当にヤバい...。

「雅紀が」
「...へっ？」

雅紀くんが私に懐いてる？
懐くの意味も分からなくなってるけど、ちょっとこれ、嬉しいって思って良いトコ？
雅紀くんが私に...
何かソワソワする。何これ、ソワソワする。

「それより、バーベキュー。Aは出来んの？」
「あ...うん、うん！再来週の土曜が休みだった気がするから。うろ覚えだから確認しなきゃだけど」
「再来週か...俺も確認だな」

やっぱり忙しそうな潤くんは数週間に一度は休日出勤してる。
でもクタクタの割に生気に満ちた目をしてるから、潤くんってば何て生命力に溢れた人なんだろう！って、こないだもニノくんとそんな話をした。

「おれはいつでも良いから、みんなで決めて？」

智くんは、うーん！と伸びをして「ちょっと寝るー」ってリビングに移動してソファにコロンと寝転がった。
ニゴがそのお腹に乗る。

潤くんも新聞読みながらの朝ご飯を終え部屋に戻り、私も部屋に戻ろうと階段を上ってたら下りて来るニノくんとバッタリ。

「おはよ、ニノくん」
「はよ...」
「相変わらず朝弱いね」
「...低血圧男子って萌えない？」
「萌えないけど」
「あ、そ」

ふらふらと階段を下りて行くニノくんを見送って部屋に戻り、スケジュール帳を確認。
やっぱり再来週の土曜は休みだった。
皆と都合が合えば良いんだけど...。

メイクして着替えて、家を出る前に冷蔵庫に貼ってある紙に『再来週の土曜なら仕事お休み！A』と書き込んだ。

「翔さーん、おはようございまーす！」
「おはようございます、Aさん」

桜香寺では翔さんがいつものようにお掃除中。
箒を片手に私の所まで来てくれる。

「今日も朝から暑いですね。ちょっと動いただけでコレですよ」

そう言って笑う翔さんは玉のような汗を首元に浮かべてるのに、全然暑苦しくない。