PARACAGE 5th【ars】 (ページ8)

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148.車。ページ8

約束の土曜日。

桜香寺に行った翔さんと、撮影に出かけた雅紀くん以外で準備をしようって事になってたんだけど「どうせ夜からじゃん」とダラダラしてるニノくんを筆頭になかなかエンジンがかからない私達。
潤くんが作ってくれたパスタをお昼ご飯に食べてから、リビングで私とチップとデールはテレビを観ながらグデグデ。
その内、智くんは寝てしまった。

「潤くーん、おじさん寝たけどどうするー？」

ニノくんがキッチンに籠ってる潤くんに声を掛けたら「大野さん、今日遊びたいからって昨日遅くまで仕事してたから放っといてあげて」って返事。

「じゃあオレも寝て良いかな」
「私も寝て良いかな」
「お前は起きて潤くんの手伝いしとけ！」
「なーんで私だけ！」

「言わせて貰ったら、何で俺だけずっと動いてんの？って話なんだけど」って言いながら潤くんがキッチンから出て来た。
その顔は呆れたように片眉が上がってる。イケメンの塊。

潤くんは野菜を切ったり、おにぎり作ったりしてくれてるみたい。
それ、きっと女の私がするべきなんだけど手伝おうとしたら「一人でやる方が早い」って言われた。確かに。

「なぁ、Aって車乗れんの？」
「うん、免許あるし乗れるけど...」
「じゃあ、お遣いして来てくんない？」
「良いけど...車？」

この家のどこに車があったっけ。
カブ子しか見た事無い。

「翔さんとこ行って、車借りて行って来て？肉注文してる店が、ちょっと遠いんだわ」

お肉の注文！潤くん、そんなのいつの間に！
良いパパになるよ！良いお嫁さんであり、良いパパだよ！
しかも顔まで良いよ！

「分かった！どこのお店？」
「さくら、ってゆー焼肉屋に頼んでるから。場所はナビに入ってる」
「はーい」
「カズ！お前は今から俺と飲み物買いに行くんだから寝るな」

ラグにベッタリ寝そべってたニノくんが「えぇぇー...」って唸ってる。

「お肉貰いに、行って来まーす」

ニノくんがブーブー言ってる家を出て、桜香寺へ行き翔さんを探す。
境内でキョロキョロしてると、作務衣の翔さんが向こうから走って来た。

「Aさん！どうかしましたか？僕もそろそろ帰ろうと思ってたんですけど」
「あ、車を貸して貰おうと思って...」
「車？」
「潤さんから、焼肉屋さん行ってお肉を受け取って来て欲しいって頼まれて」

私が言うと、翔さんは「あぁ、さくらですね。だったら一緒に行きましょう」と微笑んだ。