8 ページ9
「美馬ーっ……て、悪い、お取り込み中か？」
『今いいか？』と二人の会話に入ってきたのは、どうやら美馬の知り合いのようで、肩を落とした彼女を一瞥すると『今終わったところだ』と、勝手に会話を終了させ何やら話始めてしまった。
話を強制終了された彼女は再び『えっ？？』と間抜けな声を上げる。
「美馬ちゃん、私まだ話終わってなくて……」
「……なに？ 俺とおまえの会話なら終わっただろ」
いいえ、まだなにも終わってないんですけど。
「それになんだ？ ″美馬ちゃん″？ 俺に変なあだ名を付けるのはやめろ、不愉快だ」
「そもそもおまえ、誰だ。初対面だろ｣
「え゛っっ……」
流石に彼の言葉に私は固まってしまった。苗字にちゃん付けという呼び方を承諾して貰った覚えはないので、彼が不愉快だと言うのならばそれは勿論私に非があるし、二度と呼ばない。
しかしそんなことよりも、だ。
「え、ええっと……私昨日、同じ保健委員会で仕事をした……」
＿＿あれれ、おかしいなあ？
私の記憶違いだろうか？ 昨日彼と私は一緒に特別棟にトイレットペーパーと石鹸の補充をしに行った記憶があるし、『美馬』の読み方だって、彼に教えてもらったんだけど……？？
『委員会』という単語を出しても、まるでピンと来ないと言いたげな表情をする美馬。
「……あ、自己紹介はしてなかったか。私はC組の小西A。委員会は同じ保健委員会で、昨日一緒に特別棟に、｣
「ああ、ジャンケンに負けたノロマな奴か」
「のろっ…………」
彼の言葉がまるで剣のようにグサグサと私の体に突き刺さる。言っていることはたしかに事実だ、ジャンケンに負けたのもそうだし、私の歩行速度が遅いのも事実
けど、なんだろうか、この扱いの酷さ。
昨日は、私が失言する前までは、少し『茶目っ気』のある男子という感じだったのに、今日は周囲に人を誰も寄せ付けない男子過ぎて、扱い方に困る。
「……もしかして美馬ちゃん若いのにボケ入っ｣
「小声で言ってるつもりか？ 聞こえてるぞ」
「……たいそうなお耳をお持ちですね」
もしかしたら彼は、小説なんかでよくある『一日で記憶がリセットする人』なのかもしれないと思い、小声で悪口を言ってやろうと思ったら耳に届いたのか、鋭い眼光で睨まれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ - 美馬ナインwww🤣 (9月16日 23時) (
レス) id: d177d043dc (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - ゆゆさん» 美馬ちゃんには散々振り回されそうな予感しかしないのでちょっとした仕返しの回です😏✨ (6月15日 21時) (レス) id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 美馬ちゃんが振り回されてる感じがたまらん！！🤣💕 (6月6日 2時) (レス) id: 385c1e544a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - わあああ！！😭そんなふうに言ってもらえて私も嬉しいです！！😖💕更新も楽しみですが主様からの返信が1番楽しみです！！😆🫶🏻 (2023年4月30日 21時) (レス) id: c431f15d29 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - ゆゆさん» 気持ちに自覚するまでかなりの時間を有する男だと思っています笑🤣‼️ こちらこそいつもコメントありがとうございます、ゆゆさんのコメントに救われています🙏🙌 (2023年4月29日 21時) (レス) id: 259fa0886e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
