見てて。【牛島若利】番外編

後悔 ページ7

3日後。


私は父と姉が住んでいたアパートへ行くことにした。


姉がしばらく日本にいる時に住んでいたアパートだ。


姉は何故か実家に住まず、アパートを買うと言って聞かなかったのだ。


夕飯は一緒に食べることが多かったけれど。



3日前、若利に待てばいいと言われた。

私は言われた通り待って、自分の気持ちを落ち着かせた。



私と花恋は姉妹だ。誰がなんと言おうと、どんなことをされようと、仲が悪くても、その事実は揺るがない。

だったら私はちゃんとお別れをするべきだと思った。

花恋は私の姉じゃなかったかもしれない。もしかしたら他の人の姉として生まれていたかもしれない。

だけど、花恋は私の姉として生まれた。私はそんな奇跡のような縁に別れを告げないといけないのだ。



だから、花恋のアパートに行くことにした。

ちゃんと、お別れできるように。




最後まで、花恋の妹でいるために。



「A、着いたぞ」


私は車を降りた。


見るとそこには、平凡なアパートがあった。


『…ここか』


「…ああ」


父さんは泣きそうな顔をしていた。

私はそんな顔が見れなくて、先にアパートに入った。


202の部屋のドアに鍵を差し込んで、ドアを開ける。



　
　
　
　
　
『……！』




その瞬間、私は息を呑んだ。
　
　
　
　
　
　
なんて言うか、殺風景だ。


本当に必要なものしか置いていない。


実家のお姫様のような部屋とはまるで違う。


そう言えば、実家の花恋の部屋にあるパステルカラーの家具は母が買い揃えたんだった。


本当は花恋はあの部屋が嫌だったのかもしれない。


花恋はこういう部屋が好きだったのかもしれない。



意外だ。




　
　
　
　
　
　
　
　
実の姉とか言いながら、私は花恋のことを全然知らない。
　



　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
知ってる。他の姉妹と比べて、私達は明らかにコミュニケーションが取れていなかった。


　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　

だからと言って、あんまりだ。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
じゃあもっと喋ればよかったんだ。


自分から歩み寄ればよかったんだ。


　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　

死んでしまってからじゃ、全部、全部、遅いんだ。
　

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