見てて。【牛島若利】番外編

手紙 ページ10

封筒を開けると、中からたくさんの便箋が出てきた。


なにか書いてあるようなので、少しだけ読んでみることにした。


_____________Aへ





今日、お仕事で嫌なことがあって、なんだか立ち直れそうにないので、Aに届くわけない手紙を書くことにします。


まず、私はいつからかあなたのことが嫌いになりました。



絵が私より上手だからとかじゃないんだけどさ。



多分私は、お母さんに縛られないあなたが羨ましかったんだ。



Aは私を羨ましかったと思う。けど、私もあなたのことが同じくらい羨ましかったよ。



そんな前置きはいいとして、ずっと謝りたいことがあってさ。


　
ごめんね。絵を破いて。
　
　

さっき言ったとおり、私はお母さんに縛られないあなたが羨ましかった。


お母さんに縛られずに好きなことをするあなたが許せなかった。



あの時、言えなかったこと、今言うことにします。



ごめんね。それと、絵、上手になったね。

　
　
さすが私の妹、本当に成長したね。直接言えなくてごめんね。



本当は海外に行かずにずっとあなたの絵を見て暮らしたかった。


本当はあなたの成長をそばで見守りたかった。



母親みたいなこと言ってるかな、私。



けどね、お母さんがあんなんだから私は母親っぽいことしてあげたいって思うんだ。



もう私は立派な成人だし、忙しくもなった。だから無理なことは無理。



だけどね、私はお揃いの服着て新宿とか遊びに行ってみたかったよ。



仲良い姉妹とか言われてみたかったよ。



あなたはそうでもないかな。お姉ちゃんとどこかへ遊びに行くなんて恥ずかしくてできないかな。






　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
そんな話もいいとして、あなたが美大に行きたいって言った時。

　
　
私は嫉妬であなたには無理って言った。


　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


違うよ、そんなことない。



あなたならできる。なんだって。



私のたった1人の妹なんだから。



だから、頑張れ。

　
　
　
　
　
じゃあ、これからも元気でね。
　

　
　

　
　
　
____________花恋より

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