見てて。【牛島若利】

第二十二話 ページ23

　
次の日、描くものが決まった私は、早速下描きに取り掛かろうと、体育館に向かった。
　
　
　


　
背景に体育館を使うのだ。
　
　
　
　
　

　
　
　
　
何故自分でも体育館を選んだのか分からない。
　



　
もしかしたら、牛島と会ったあの日から、私は体育館がなんとなく好きになったのかもしれない。
　
　
　
　
　

　
『失礼します』
　

　
　
　
そう言って靴を脱ぎ体育館に入る。

　
　
途中で部活中の牛島と目があったが、ついそらしてしまった。

　
　
今は牛島と話す時じゃない。
　
私には目的があった。
　
　
『鷲匠先生』
　
　
　
　
「ん…？どうしたA？」


　
　
鷲匠先生は国語の先生。
　
　
私のクラスも受け持ってもらっている。
　
　
　
だから先生とは顔見知りだった。
　

　
　
『あの、私、コンクールに自分の絵を出すことになって…背景に体育館を選んだので、練習の邪魔にならない程度で体育館のスペースを少しだけお借りしたいんですけど…いいですか？』
　
　
　
　
鷲匠先生は、少し驚いた顔をした。

　
　
　
　
もしかしたら無理かもしれない。
　
　
　
　
　
バレー部ではマネージャーをとっていない。
　

　
牛島のファンが入ってきたりして迷惑するのと、部員の気が散り、練習に集中できなくなるのが理由だそうだ。
　
　
　

　
　
「…ここでは話せない。少し席を外そう」
　
　
『…はい』
　
　
　

　
　
断られるのかな。
　
　
　
　
　
私の頭には悪い予感がよぎった。

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