見てて。【牛島若利】

第十五話 ページ15

　
いらない、知ってるよ、そのくらい。
　
　
　

　
　
　

　
　
　
　
　
　
私の絵は、いらない。
　
　
　
　

　
　
　
　
　

　
　
いらない絵を描いていた私は、なに？
　

　
　


　
　
　
　
　
　
　
　

　
　

　


　
　
なんのために絵を描いてるの？
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

なんのためにあの家にいるの？

　
　
　

　
　


　
　
　
　
　
　
　
　
　


　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　

母と姉と父。
　
　
　
　
　
　
　
　
　


　
　

　
　
　
優しい母に、
　
　
　
　
　
　
完璧な姉に、
　
　
　
　
　
　
家族を愛す父。

　
　

　
　
　
　
　
　
その中に、出来損ないの私は
　
　

　

　
　
　
　
　
　
　
　

　
いらないんだよ。
　
　

　
　

　

　
　
　

　

　
　
　
　
　
姉は私になんで絵を描いているのか聞いた。
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
笑っちゃうよね、自分でもわかんない。
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　

　

　
　
　
　
　

けど、もうスケッチブックも破られちゃったし。
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　

　

描く必要なんてない。
　
　
　
　
　

　
　

　
　
　
　
　
　
　

　
　
描く意味なんて、もう。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
「Aの描く絵は綺麗だ」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
ふと、牛島の声が頭に響いて、立ち止まった。
　
　
　
　
　
　
　
涙が溢れてきた。
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　

　
　
　

　
　
　
　
　

　
　

　
牛島、そんなこと言っても。
　
　
　

　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
私の絵は綺麗なんか、
　
　

　

　

　
　


「A、？」
　
　
　
　
　

　
　

　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

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