伊達工、鉄の猫被り現る

手本 ページ46

まず、リエーフ君のレシーブを見て分析。

悪いところを徹底的に絞り出してアドバイス。

と、私が思う一番効率的なやり方をしていたら、リエーフ君がぐずり出した。

まあ二口と違って可愛げがあるしいいんだけど。

「Aさんーわかんないですよー！もう無理です〜！」

「リエーフ！へ ば ん な！」

「ひぃい〜(涙)」

『んーじゃあ私がお手本見せるよ。黒尾さんスパイク打ってもらえませんか？』

私が黒尾さんに頼むと、快く引き受けてくれた。

「(50パーくらい出せば『言っとくけど本気でお願いします』

どーせ女子だからって手抜かれるだろうし最初に言っておく。けど、本気のスパイクをレシーブしないと、練習にはならない。

「じゃあ研磨ぁ〜トス頼むわ」

「…なんで俺が」

「お前どーせ暇だろー？」

「まあいいけど」

黒尾さんがセッターを呼んで、いよいよ始まる。


　
いや待てよ…もしこれで私がレシーブできなかったら…


うわかっこわる…しかも絶対皆んな苦笑い…みたいな。


ぜっっっったい成功させないと。
　
　

　
「じゃあいくぞー」

「…ｺｸｯ」



　
　

　
　
　
　
　
　
　
綺麗にトスが上がる音がした。
　
　
　


　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
どっちに来る？右？左？
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
いーや右斜め前！
　
　
　
　
　
　
私は素早くボールの前に入り込んで、しっかりレシーブした。
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　

　

　
　
　
　
　
　
　
…結構綺麗な音したなー。
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
「「……ッ」」
　
　
　
　
　
　



　
　
　
　
　
　
　
ボールはちゃんと、上に上がった。

　
　
　
　
　
　
　
　
「…やるねぇ」
　
　
　
　
「すっげーーーー！」

　
　
キラキラと目を光らせたリエーフ君が見える。
　
　
ほうほう…中々上出来だったってわけか。やるねぇ私。
　
　
　
　
　
「俺普通に尊敬するわ…黒尾のスパイクあんなに綺麗に上げるなんてな…」

　
や、夜久さんに褒められた…嬉しい…二口にも褒められたことないのに…！
　
　
　
　
てかなんでここで二口が出てくるわけ？なんで私二口を意識してんの？おっかしいわまったく…
　
　
　
『じゃあそろそろ行きますねー』

「ああ！ありがとな！」
　
　
　
　
私なんで二口ばっか考えてるの？
なんで？おかしい。絶対おかしい。

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