伊達工、鉄の猫被り現る

秘密 ページ6

ー二口サイドー

俺は知っていた。休み時間、Aが1人で練習していることを。毎日毎日、雨の日以外、誰も見ていないところで練習していることを。

俺は知っていた。放課後いつもAが1人で練習していることを。

だから、そんなにバレー好きな奴は1人でやるべきじゃないから誘った。


実際にAのレシーブは悔しいけど俺より上手い。反射神経とかも、まあ、多分アイツのほうが上だ。
完全に、スパイクの勢いを殺して、丁寧に上げる。どんなボールでも、どんなにコートの端でも絶対正面でボールを受ける。ホントきしょすぎる(悪口)



まあレシーブだけだけど。

確かスパイクは中学のときの試合見た限りではヘロヘロだった気がする。

『二口くぅぅんこんなヘロヘロスパイクじゃ、すぅぐ拾われちゃうよぉ！もっと頑張ってぇ！』

「あ"あ？？お前の方が中学のときヘロヘロだっただろ！」

『中学の時の話はすんな！、じゃなくてしないでよぉ〜』

「あとその喋り方やめろ！腹立つんだよ！」

『きゃーこわぁい！』

とか言ってクスクス笑うA。

ボスと呼ばれていたコイツが猫を被り始めたのは驚いたけど、まあ俺だけが本当のAを知ってるのは、なんとなく悪い気はしない。

「おーいそろそろ終わるぞー」

茂庭さんが声を上げる。

「おい終わんぞ」

俺もAに声を掛けて、集合する。
Aは部員じゃないから、帰る用意をし始めた。

『じゃあありがとうございましたー』

「おうお疲れさん」

いや早ッ帰んの早すぎだろ！！

「待てよ…！」

しまった。なんか声掛けちまった…俺の馬鹿野郎…

『ああ！私も二口君に言うことあった！ちょっと自主練外でしてかない？』

言うこと？なんか嫌な予感が…

「お、おう」

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