金髪 ページ8
次の日。
Aside
無事始業式を終えて、私は2年に進級した。
1年の時と同じように極力静かに、極力男子と関わらずに過ごす。特に後者は絶対だ。
と、思っていた。
放課後、帰ろうとしていた私の前に現れたのは1人の男子。
おどおどしていて、目が泳いでいて、多分話し慣れていない。
「えっ…と…葉山さん、だよね」
『…はい』
正直言って話したくない。男子の顔を見るたびに声を聞くたびに嫌なことを思い出す。
「…クロが…葉山さんのこと、心配して…」
『クロ、?』
「あえっ、と…長身の、トサカ…頭の」
10秒くらい考えて、私はやっと思い出した。
痴漢から助けてくれたあの人だ。
『ああ、わかるよ』
「…心配してて、その。今からちょっと話せる…って」
『え…』
「今…廊下で待ってる…」
今思い出した、クロ、というのは最近女子から人気な黒尾先輩のことだ。
優しくて、長身で、格好良くて、確か強豪のバレー部主将だとかで。
そうだ、優しいんだ。だから私のことを心配している。
けど私からしてみれば黒尾先輩に用はない。きちんとお礼はした。頭も下げた。ていうかそれが私の限界だ。
男子と話すとか、私はムリ。ぜったい。
それにモテる先輩にはきっと彼女がいるだろう。もし彼女が私と先輩が話している姿を見たらどう思う。
恋愛は陰湿で面倒だ。きっと僻まれたり嫉妬されたりする。私だって話したくて話しているわけじゃないのにそれは流石に理不尽だ。
それに高校生の恋愛なんてすぐに揺らいでしまうガラス細工みたいなもの。私が先輩と話している姿を見た彼女は先輩を責めるだろう。
よって私が先輩と喋るメリットはない。第一男子と喋るなんて嫌悪感がやばくて吐きそう。
『ごめんなさい急いでるから』
「え」
私は話しかけてきた金髪を置いて、教室のドアを開けた。
急に視界が真っ赤になった。
「うわっびっくりした」
…廊下で待ってるとは言ったけど…
ドアの真ん前で待ってるとは聞いてない。
『黒尾先輩…』
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作者名:パエリヤさん | 作成日時:2024年3月1日 23時