あの日の記憶 ページ1
中学2年生の夏。
その日は台風が近づいているだかなんだかで、雨が強くて、風も強くて。気を抜けばコウモリになってしまうから、傘をさすのが大変だった。
私はいつものように親友のナツの家へ向かっていた。
家に着いた途端、私は異変に気がついた。
誰かが立っている。
こちらを見ながら。
ゾッとしたが、すぐにそれはナツだと分かった。
ホッとした私は、私が待ちきれなかったの?寒くない?濡れちゃうよ?そんなことを話しかけながら近づこうとした。
すると、
「来ないで」
一瞬で背筋が凍った。
さらに追い打ちをかけるようにナツが口を開いた。
「…で、なんで、なんで?私がこんな目に遭わないといけなかった?ねえ、なんで?」
雨か涙か分からない雫が、ナツの頬を伝った。ナツは自嘲気味に笑った。
「私、何回も話したよね。いつか幸せな家庭を持ちたい。素敵な旦那さんがいて、子供は3人って」
「けどね、3人どころか1人もできない体になっちゃった」
途切れ途切れに話すナツを前に、私は完全に言葉を失っていた。
「ねえ、A。目を閉じるとあれを思い出しちゃうの。
どう頑張っても消せない。
どう洗っても私は、私は、汚れていて、綺麗になれない」
私が無力にも手を伸ばすが、もう遅い、
ナツは自分の持っていたナイフで、自分の首を刺した。
「もう、辛いよ」
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作者名:パエリヤさん | 作成日時:2024年3月1日 23時