コードブルーFirst Season (ページ2)

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どこまでも広く、青い海が、まばゆい陽射しを反射してきらきらと輝いていた。

その照り返しを機体で受け止めて、一機のヘリコプターがローター音を響かせながら大空を往く。

ヘリの後部座席に座っているのは一組の男女。

翔陽大学附属北部病院の医師、黒田修二と、同じくナースの冴島はるかである。

ドクターヘリ。

それは救急車による搬送が困難な病人や負傷者にとって、最後の頼みの綱、救いの蜘蛛の糸のような存在だ。

救命救急センターに所属する二人は日々、病院と患者が発生した場所とを往復している。

フライトドクター。

そしてフライトナース。

それが彼らの通称だ。

この日も緊急出動した彼らは、任務を終えて病院への帰途についているところだった。

「黒田先生……」

手にしたペンで搬送記録に書き込みをしていた黒田に思い出したように冴島が声をかけた。

記録から顔を上げないまま、黒田が「ん？」とだけ応じる。

「今日ですよね。フライトドクター候補生が着任するのって……」

まるでその話題が好ましくないもののように答える黒田。

「フェローシップか。そうみたいだな。」

「確か……五人って聞きましたけど」

「ならそうなんだろ」

黒田はまだ記録から視線を外さない。

その無愛想な態度に、言葉を選ぶようにしながら続ける冴島。

「五人とも、ほかのERで経験ある人たちなんですよね？」

「……らしいな」

「その……戦力になりそうですか？」

ようやく顔を上げた黒田が記録を冴島に渡しながら表情の読めない顔と声とで答えた。

「フェローが即戦力になったことが今まであったか？」

「それは……

指導医はやっぱり黒田先生ですか？」

黒田の眉間に不機嫌な縦皺が寄ったとき、前方の操縦席から無線連絡の声がした。

「翔北ドクターヘリ！こちら翔北CS！」

「こちら翔北ドクターヘリ。どうぞ」

「双葉消防より、ドクターヘリ要請です。患者は73歳、女性。団地三階のベランダより転落です。」

「わかりました。翔北には戻らず、このまま現場に向かいます。」