藍沢との子供

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冴島side

富澤さんをみていると…

藤川「もう式は来週だよ？」

うわ！写真持ってきてるし！

「ここにそんなもの持ってこないで。別に私はやらなくていいって言ってるでしょ。」

藤川「でも、今日中に決めてくれって業者から連絡が…」

藤川先生は周りのスタッフにバレないように体で隠しながら二枚の写真を私に見せ、しつこく「どっち？」と尋ねてくる。

「だから＿＿＿＿」

白石「藤川先生。」

突然、白石先生から声をかけられて藤川先生は、ビクッとしている。慌てて写真をポッケに突っ込んでいた。

白石「武藤さん、そろそろ一般病棟移せそう？」

藤川「え？ああ、そうだな。手続きしとく。よくなってよかったハハハ」

そう答えると、藤川先生は逃げるようにHCUを出ていった。

白石「富澤さん、どう？」

「安定してます。」

白石「起きたら病状説明するから呼んでね。」

白石先生が行こうとした時…

富澤「起きてます。」

白石「ああ……」

富澤「医者と看護師がいちゃついてるから寝てるフリするしかなくて」

「すみません。」

あいつ！


白石「怪我は骨折と肺挫傷でした」

富澤「ああ、はい」

白石「骨折は治るのに8週から10週くらいかかると思います。」


灰谷「白石先生、富澤さんのCT、もう一度見てもらっていいですか。」


なんかあったのかな？

白石先生は、目を見開いている。


富澤「結構写ってるでしょ。スキルス性胃がん。ステージIV。切除不能でイリノテカンとドセタキセルを試したけど効果なし。おまけに飛行機は乱気流で引き返した。私は人生最後の旅行も行かせてもらえないらしいわ」

白石「……今はどちらの病院に？」

富澤「急性期の病院だもんね。安心して。長期入院で診療報酬がカットになる前に私は死ぬから。」

黙り込んだ私と灰谷先生、白石先生をみて。

富澤「ごめんなさい。困らせた？」

白石「いえ」

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