【名探偵コナン】わたしの光【安室透】 (ページ30)

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２９話ページ30

「…どうぞ」

ガチャリと玄関の扉が閉まると急に静けさが増す。
家族以外の男が家にいることはほとんどないためか、私は変に緊張していた。

「麦茶で大丈夫ですか？」

「はい、ありがとうございます」

リビングの椅子に座っている安室さん。
いつもいる空間に彼がいるというこの状況が私には少しおかしかった。

だから麦茶をコップに注ぎ終わった後も彼の元には行かず少し遠目から客観的に見ていた。

女子高生に人気のあの安室透。
やはりイケメンであり、紳士的である。

こんなに仲良くさせてもらっているのがおこがましいのではないか。
そんな風に思っていると、全然来ない私に気になったのかこっちを向いてしまった。

「そこでなにを？」

「あ、いえ！なんでもないです！」

私の動揺っぷりが可笑しかったのかクスクスと笑う。
その反応にすっかり恥ずかしくなりながらも彼の前に麦茶を出した。

静まり返るリビング。

二人とも話す内容に困っていた。

特に安室さんは避けるべき話題が多くあるため大変である。
下手に話してそれがまた地雷に触れれば今度こそどうしようもないだろう。

＂ここは私が話題を出さないと＂

謎の小さな使命感が私の中に生まれた。

そしてグルグルと渦巻く思考の中
やっとのこさ出た言葉に私はすぐに頭を抱えたくなった。

「安室さんって彼女います？」

ナニヤラカシテンノ

よりによって聞く場所が明らかに悪すぎる。
なぜ家で二人きりのときに聞いたのか。

自分自身のことなのによくわからない。

ただテンパっていたのか。
それとも知りたいという欲が勝ったのか分からないが。

確かに聞きたいことではある。

だがもちろん聞くタイミングがとても悪かった。