【名探偵コナン】わたしの光【安室透】 (ページ23)

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２２話ページ23

「あっ…」

次の日の夜。
またもや遭遇してしまった、スーパーの近くで彼に。

「こんばんは」

安室さんは私を気遣わせないためか普段となんら変わらないような笑みを浮かべた。

「…この間はすみませんでした」

あの時は正常な状態ではなかったため、改めてちゃんとした心からの謝罪を行った。

「そんな、気にしないでください！僕が悪かったので…」

深々と頭を下げる私に慌てて言った言葉。
それに反応した私は勢いよく顔を上げた。

「安室さんは悪くないんです！私が…」

ある症状を持っているとは言いづらく、口籠ってしまう。

＂何か言わなきゃ＂
そう思えば思うほど言葉は全然浮かんでこなかった。

一方の安室さんは最初、突然頭を上げた私に驚いた様子だったが
私の言葉を聞いてだんだん苦しそうな表情へと変わっていった。

なぜそんな顔をするのか。
その疑問はすぐに解消された。

当然抱きしめられ

「泣き出しそうな顔をしている」

と言われたからだ。

久しぶりに感じた人の温もり。
それに少しだけ安心をした。

「安室さん…」

「はい」

呟くように呼んだ名前もしっかりと聞き取ってくれる。

＂ありがとうございます＂とわざとさっきよりも小さい声で言う。
今度は聞こえてないようだ。

そしてすっかり心が落ち着いた頃。
ふと私は今の状況を思い出してしまい体が強張った。

今の今まで大丈夫だったはずのこの密着度。
それは吊り橋効果のようなものだったらしく、彼に頭を撫でられたときには口が動いていた。

「離してください」

その声はとても冷徹だった。

私があのときの出来事を思い出させる状態だったためか、安室さんは何も言わずに離れた。

「あのときのことは謝ります。でも私には一切触れないでください」

僅かに震える体を見て見ぬふりをしてそう告げた。
だが安室さんはそれに気づいているようだった。

「わかりました」

そう言った後に私と一定の距離を空けた彼。
そして＂気をつけて帰ってくださいね＂とその場を去った。

彼の姿が見えなくなり、私は座り込んだ。

「はぁ…やっぱりまだ怖いんだ…」

＂男性に対する恐怖心＂
それが私にはあった。

普段はあんなに震える状況にならないため自分でもすっかり忘れていた。

見た目とは真逆のガッチリとした体。
それに抱きしめられたことで再び恐怖心が出てきたのである。

「またやっちゃったなぁ…」

2度もやらかしてしまった。
もうこれ以上迷惑をかけたくなかったのに。