１９話 ページ20
「いやー、楽しかったわね！」
ショッピングモールを出て、両手に袋を抱えた四人の傍らで俺はすっかり疲れ切っていた。
案の定、四人に連れまわされたのである。
「次どこに行く？」
その言葉に��まだ行くのか！？��と表情筋が引き攣る。
「あ、私は＿」
Aが何かを言おうとしたとき、俺等の横に車が止まった。
助手席の窓が下がり、運転席には男性の姿が見えた。
「A、終わったか？」
その言葉に俺を含めた四人が一斉に彼女を見た。
「うん、ちょうど終わった」
そう男性に言うと、今度は俺たちを見る。
「ごめんね、今からお父さんと行かなきゃいけない所があるから...」
どうやらさっき言おうとしていたことはこのことのようだ。
三人はその男性が父親で納得したらしい。
だが、俺は違った。
頭の中が混乱していたのだ。
何故なら彼女の地雷が家族だと予想していたからである。
しかし、目の前では普通に話す二人がいた。
しかも思春期なら嫌がりそうな父親が相手だ。
友達といるときに父親が来たら普通は嫌がりそうだが、彼女は気にしていないようにも思えた。
そう考えると、むしろ他の家族よりも仲が良さそうである。
「じゃあ、ばいばい」
いつの間にか助手席に座っていたAが俺たちに笑顔で手を振る。
「うん、また明日ね！」
俺たちが手を振りかえすと車は走り出した。
「Aのお父さん初めて見たね」
三人の話題は自然にAの父親へとなった。
そして楽しそうに会話をする声を俺は少し後ろで聞いていた。
手には携帯があり、メール作成画面が表示されていた。
��話したいことがあるから、今から行ってもいい？��
宛先は___
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作者名：√ -るうと- | 作成日時：2019年3月31日 21時
