13話 ページ14
そんなこんなでスーパーを出るまで拷問のごとき質問責めは続いた。
「もう暗いですね、お送りしますよ」
そう言う彼の目が暗い中でも分かるくらい鋭く光っていた。
それは探偵の目。
私に対して何かしら疑っているようだった。
このままだと家も特定され面倒なことになりかねない。
そう思うと完全に私の理性が吹っ飛んだ。
「さっきからなんですか、出会ったばかりの私にヅケヅケとプライベートなことばかり聞いて」
「え…」
彼はいきなり豹変した私に戸惑っているようだった。
ここで止まれば彼もこれ以上踏み込まず、私も謝るだけで済んだだろう。
でも私は地雷を踏まれた上に何故か疑われてどうしようもなくイライラしていた。
そう、ここでPTSDの症状が出たのだ。
「ほんと何。探偵の性分って?すぐに疑うのやめてくれる?こちとらなんもないのに疑われて地雷も踏まれて迷惑してんのよ」
とうとう彼相手にタメ口を使ってしまう。
感情が高ぶった影響で涙も出てきた。
頭の中がもう整理できないくらいぐちゃぐちゃになっている。
「あーもう!!」
そしてどうしようもなくて叫ぶ始末。
彼は私を落ち着かせたいようだが、この状況にしてしまった元凶のためか何もしない。
賢明な判断である。
「はぁ、はぁ…」
一頻り暴れた後息切れが起きて、私は少し理性が戻ってきた。
心を落ち着かせるために深呼吸をする。
そんな私を見て彼は大丈夫だと思ったようで近づいてきた。
「すみませんAさん、あの…」
彼はとても言いずらそうにしていた。
元凶は確かに彼だが、こうなったのは私に問題がある。
「取り乱してしまい申し訳ありません。安室さんはお気になさらないでください」
そう抑揚のない声で告げた。
高校生が使うにしては不自然な言葉だ。
取っつきにくくも感じさせる。
つまりこの言葉は
「もう私に関わるな」
という思いの表れでもあった。
またPTSDの症状が出たら迷惑をかけてしまうからである。
「では、私はこの辺で」
頭を下げ、方向を変える直前に私は見てしまった。
じっと私を見つめる彼の目を。
「今度は何を考えてるんだろ」
ビニール袋を提げ、夜道を歩きながら呟く。
思い出すのは
探偵の時とは違う、彼自身の目だった。
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作者名:√ -るうと- | 作成日時:2019年3月31日 21時