それぞれの片想い ページ6
-A side-
あれからどれほど時間が経ったのだろうか...。
すっかり光輝の椅子で寝てしまっていた私は、優しく頭を撫でられる感覚で目を覚ました。
A｢ん...｣
海司｢おはよう、よく寝てたね｣
A｢...海司｣
海司｢嘘なんでしょ、呼び出しなんて｣
本当に、海司には全部お見通し。
A｢...うん、だって見たくなかったんだもん｣
小さく呟いた私にため息をつく海司に、自分のバカさを感じる。
A｢……いっそ忘れられたらな｣
海司｢え？｣
A｢だって光輝を好きだからこんなにツラい想いしてるわけでしょ？
もし光輝を好きじゃなかったら...、
忘れることが出来たらこんな想いせずに済んだのかなって｣
海司｢...んなこと言うなよ｣
そう言って海司は私を抱き締めた。
海司｢んな事言ってると光輝が悲しむぞ｣
A｢...うん｣
海司｢お前のその一途な所もAのいいとこなんだから｣
A｢...そうだね｣
いつだってマイナスに考えてしまう私を、前向かせてくれる海司。
海司みたいな人を好きになってたらまた違ったのかなって思う時がある。
A｢海司は好きな人とか居ないの？｣
海司｢ん〜、どうだろうね｣
A｢何、その曖昧な返事｣
海司｢居ないって言ったら嘘になるけど、でも今のとこその子と進展したいなんて思ってないかな｣
A｢なんで？｣
海司｢その子好きな奴いるから俺の事眼中に無いし、それにその子が笑ってくれてたらそれだけで幸せだし｣
A｢へぇ〜、海司にも落とせない女の子いるんだｗ｣
海司｢うっせぇｗ｣
そう言って海司は私の髪をグシャグシャにする。
A｢ちょっと〜｣
海司｢ﾊﾊｯ、グシャグシャｗ｣
自分でやって笑ってる海司。
A｢もうせっかく今日は自分で綺麗に巻けたのに〜｣
そう、私は髪を巻くのが苦手でだいたい自分で挑戦するも、直ぐに挫折して毎回陸に巻いてもらっている。
だけど今日は陸の助けなく、綺麗に巻けたのだ。
海司｢ﾊﾊｯ、ごめんｗ｣
そう言いながらグシャグシャになった髪の毛を整えてくれる。
海司｢光輝も陸も待ってるから教室行こう？｣
A｢そうだね｣
この時にはまだ予想もしてなかった。
この日、まさかあの人に会うなんて...。
そしてその人が本当に光輝より
大切な人になるだなんて...。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 793人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
