セレブ王子との接点 ページ48
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そんな光輝を呆れた眼差しで見る朱雀さん。
奏「キミに守れるとは思えないな」
光輝「はい?!」
奏「キミは何よりも見ないといけない所を全然見ていない」
そう言って果音さん越しに私を見る朱雀さん。
その目は私の光輝への想いを全て、
見透かしているようだった。
そんな私を見てクスッと笑みを浮かべた朱雀さんは再び果音さんに視線を戻し、
右手で果音さんの後頭部を優しく支えるとグッと距離を近付けた。
奏「いい子で待ってるんだよ、クソ果音」
そう言い放った朱雀さんは悪戯に笑った。
予想もしない行動に光輝も動けず、その光景を目の当たりにしていた。
そして何よりも...
誠一郎「奏...」
元「奏様がクソって...」
側近2人にとっては朱雀さんが
“クソ”という言葉を発したことに驚きを隠せないでいた。
そんな果音さんはというと、また右手で頬を抓っていた。
クセ、なのかな...?
そう思っていると、
果音「待ってるわけないじゃないですか、クソ王子!」
そう果音さんは言い返すと、教室へと足早に向かって行った。
もちろん光輝達は果音さんについて歩くけど、私は動けないでいた。
奏「どうしてそんなにキミは口が悪いんだ!」
きっとこの流れ的に2人のこういったやり取りは初めてではないらしい。
だが、今日は余程の事だったのか、
誠一郎「どうした奏、キミらしくない!」
第1側近の久遠さんも戸惑っている様子。
誠一郎「朱雀家の為にあの女を落とすんだろう?」
奏「...あぁ」
誠一郎「それなのに喧嘩腰になってどうする」
奏「だって腹が立つんだよ、果音の顔を見ていると」
...なるほどね、そういうこと。
会話の流れで何となく果音さんとの接点を理解した私。
元「あ、あの...」
その内容を聞かれてしまって焦っているのか、第2側近の鏑木さんが慌てたように私に声をかける。
A「大丈夫です、誰にも言いませんので」
そう言ってその場をあとにしようとすると、後ろから腕を掴まれた。
振り返れば不機嫌目な陸。
陸「もう...何でちゃんと着いてきてないの」
A「ん、今行くから」
チラッと朱雀さん達に視線を向けた陸はどこか威嚇しているようで、
きっと姉を取られた弟のようなものだろうと、
私は朱雀さん達にお辞儀をして陸を連れ出した。
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作者名:ちゃそ | 作成日時:2019年3月2日 9時